一線は越えていない

 【8月1日】

 一線を越えていない…そうだ。

元スーパーアイドルと神戸市議との例のハナシである。連日ワイドショーを賑わせているけれど、ああだこうだ詮索したところで真相は当事者のみぞ知るだから…。あの旅行に国費が絡むならともかく(絡んでいたら、それこそ一線を越える不祥事だけど)、議員さんのお忍び?には興味が湧かない。

 一線を越える。あまり日常生活で使う言葉じゃないので、念のため調べてみると、『広辞苑』(岩波書店)にはこうある。

 現状を保つ限界を越えた行動をする。それをすれば今迄とは全く異なる状況となる行動を取る-。

 要するに、守るべきことを破る…ということ。例の議員さんの場合であれば、婚姻関係が破綻していなければ、つまり、その、あれだ…。子供たちに説明するのも厄介だから、昼間からTVでワーワーと議論してほしくはないが…。

 勝手ながら先週「夏休み」をいただき、2カード6試合、休載させてもらった。コラム再開の取材がいきなりカープ戦だから、景気良くいきたかったけれど、そううまくはいかない。この夜カープに負けたことで、タイガースはいよいよ正念場を迎えた。きょうの第2戦に敗れれば、数字上自力優勝の可能性が消滅する。とうとう一線を越えてしまう…。いや、言葉の使い方を間違えてはいけない。この場合、死線を越えてしまう-である。死線(=デッドライン)とは、越えてはならない線。最後の限界線のことだから、前述の「一線」とは意が異なるわけで…。

 これまで、順位、数字を「まだまだ気にしない」と語ってきた金本知憲も8月に11ゲーム差をつけられれば、さすがに内心は苦しいはずだ。残り51試合でこの大差を跳ね返すためには、カープが投打ともガタガタと崩れることが条件になるが、まあ、なかなか想像しづらい…。それでも金本は「最後の最後までファイティングポーズは崩さない」と語る。球場外でもそう語るのだから建前じゃない。

 数字上、果てしなく苦しくなっても、ファイティングポーズ。そんな選手は……いるじゃないか。この試合、大和が二回と六回の内野ゴロで一塁へヘッドスライディングを試みた。アウトにはなったけれど、間一髪のタイミング。星野流ではないが、勝ちたいんや!の闘争心が伝わってくる。この先、大波乱を起こすために金本は大和を重用していくと僕は見ている。気迫を買って?確かにそういう思いもあるだろう。でも、やはり彼の「守り」である。「打力がネック」と言われてきた大和がスイッチヒッターをモノにしつつあることで、金本は彼を「レギュラー」として、スーパーな守備力を再評価しているのだと思う。

 「大和のところへ(打球が)飛べ!と思って見てしまう。あいつがどんな好プレーをしてくれるのか、楽しみだから…」。最近、金本は僕にそう語ったことがある。

 まだ一線は…いや、死線は越えていない。越えてはいけないラインを越えさせない戦いが続く。=敬称略=

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