筒香を抑えよう

 【2月13日】

 DeNAが宜野座にやってきた。阪神にとっては2017年初の対外試合であり、新助っ人エリック・キャンベルのデビュー戦。きょう祝日だっけ?そう錯覚するほどスタンドは膨れあがり、普段立ち入り禁止の外野席まで開放する盛況ぶりだった。ドラ1の大山悠輔や売り出し中の糸原健斗、原口文仁や高山俊も観たい。阪神ファンの楽しみは尽きない。ただ、敵味方なく、プロ野球ファンの目線で言うならばどうだろう。このカードで一番観たかったのは藤浪晋太郎と対戦する侍ジャパンの主砲、そのスイングをナマで拝見できれば言うことはなかったはずだ。

 阪神キャンプを訪れた日本代表監督・小久保裕紀と藤浪が握手していたころ、筒香嘉智は宜野湾でバットを振っていた。昨季の本塁打王が練習試合に出ないというので、僕はいつもとは逆方向へ車を走らせ、朝から宜野湾にいた。WBCの初戦は3月7日。本番までひと月を切る中で、小久保ジャパンの4番候補がどんな調整をしているのか気になった。

 DeNAのチームバスが宜野座へ出発した午前10時半、筒香、梶谷隆幸、ホセ・ロペスら宜野湾の居残り組は打撃ケージに集合していた。FAで巨人へ移籍した山口俊に代わる先発候補、ジョー・ウィーランドがフリー打撃に登板する。筒香は新助っ人の投球を強振せず、打感を確かめていた。

 「日本のピッチャーとは球筋が違いますので、それを見られたことは良かったと思いますよ」

 筒香の言葉にWBCへ向けた高ぶりを感じた。それにしても25歳とは思えないこの風格、オーラは何だろう。世界大会で思いっきり爆発してもらって、阪神にはお手柔らかに…そう言いたくもなる。

 筒香が本塁打&打点の2冠に輝いた昨季、印象深かったのは左投手をまったく苦にしなかったこと。計44本塁打中、左腕から放ったアーチはなんと20本に及ぶ。「左には左」のセオリーは筒香にはまったく当てはまらないのだ。

 「彼はもともとインコースが大好きなんですよ。あれだけの軸回転ですし、詰まってもスタンドまで持っていける。左腕の押し込みが凄いですから。怖いですよ」

 宜野湾から宜野座へ戻り、能見篤史の練習終わりを待った。筒香がなぜ左投手をあれほど打てるのか。昨季筒香から2被弾している能見が彼のストロングポイントを教えてくれた。筒香は阪神戦でも左投手との相性が良く、対戦打率は対右腕の・257に対し、左腕は・286。ちなみに対能見は・333で対岩貞は・444。虎はローテ左腕が崩されている。

 「対策?デッドボールかフォアボールでしょ(笑)。それはもちろん冗談ですけど、苦手なところははっきりしているので…」

 何とか筒香を抑えなければ再び辛酸をなめる。WBCで勢いを増せば、シーズンは手をつけられなくなるかもしれない。でも、虎党の勇気が湧くデータもある。昨季、セ・リーグで筒香を最も抑えたチーム、実は阪神なのです。=敬称略=

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