阪神・前川 プロ初2戦連発 左翼スタメンで存在感も「油断できることは一切ない」

 「阪神6-4広島」(5日、甲子園球場)

 「いけいけドンドン」の雰囲気が漂う右翼スタンドに阪神・前川の打球が吸い込まれていった。冷めやらぬ興奮を“追い炊き”する3号ソロは、プロ初の出場2試合連続弾。熾烈(しれつ)な左翼争いで存在感を示した。

 3点を勝ち越した五回だった。試合前まで16打数7安打、打率・438と好相性を誇る床田の初球。内角への138キロ直球を振り抜いた。「フェンス直撃くらいかと思ったんで、入ってくれて良かった」。着弾を確認した前川は少し驚きの表情を携えながら、一塁ベースを回った。

 この打席の少し前。右前打を放った佐藤輝が相手の失策の間に一気に本塁に生還する“実質ランニング本塁打”が生まれていた。その興奮が収まりきる前に飛び出した、正真正銘の本塁打が甲子園をさらに熱くさせた。

 1点を追う二回には佐藤輝、大山が演出した無死一、三塁の好機で打席へ。外角を引っかけ一塁方向へのボテボテのゴロとなるが、これが幸い。一塁・佐藤啓がどこにも投げられず、記録は同点の適時内野安打。「最低限、同点にと思っていた。きれいなヒットじゃなかったけど、得点できて良かった」と安堵(あんど)した。

 昨季まで2年連続で開幕スタメンを勝ち取った男は今季、開幕を2軍で迎えた。チームが東京ドームで開幕戦を戦った3月27日。北川2軍打撃チーフコーチから助言をもらった。「チャンスの時、もうちょっと落ち着いた方がいいんじゃないか」。冷静に最低限を心がけた気持ちがこの打席、ラッキーな内野安打につながった。

 育成からはい上がってきた福島、現役ドラフトで加入した浜田、2軍には同学年のドラフト1位・立石(創価大)もいる。群雄割拠のスタメン争いのさなか。藤川監督が「離さないようにするのは自分自身ですからね」と話せば、前川も「油断できることは一切ない」と気を引き締めたまま球場を後にした。

 スタメンに帰ってきた「左翼・前川」の響き。今度こそつかんで離さない。

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