「広島０－８阪神」（１日、マツダスタジアム）

　阪神が完封リレーで貯金を今季最多の「１０」にした。先発した新人の伊原の好投で競り合いに持ち込み、終わってみれば大勝。デイリースポーツ評論家の中田良弘氏は伊原の投球術を絶賛するとともに次節から始まる交流戦に注目した。

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　伊原は安定した投球で広島打線を抑え込んだ。彼の良さはいろんな球種で、たとえ不利なカウントになってもストライクを取れるところ。「ここは直球だろう」と思っても変化球がくる。打者にとっては非常に的を絞りにくい投手だ。

　また、投球動作に入ってから打者とのタイミングをズラすのも非常にうまい。走者を背負っていないケースでは右足を上げるときに“カクン”という動きが入ったあと、長く立っていたり短くしたり、微妙に間合いを変えてくる。

　遅いスライダーや速いスライダーなど強弱をつける工夫もしている。社会人でもまれていただけあって、そういうことができる。野球能というか野球感にたけている。投球術というものをすでに身につけているね。

　この広島との３連戦の初戦からマスクをかぶった坂本との息もピッタリで、一度も首を振ることなく終始いいリズムで投げていた。

　それだけに残念だったね。七回に連打されて降板した場面。それまで危なげない投球を続けていただけに続投でもおかしくないと思ったが、リリーフ陣が豊富なチームならではの交代ということだろう。

　（先発した伊原は初回２死からファビアンに中前打されたが、それ以降はほぼ完璧。七回、先頭の末包を打ち取るまで、走者を背負ったのは四球と振り逃げの２度だけ。七回は１死後、坂倉とモンテロに連打を浴びたところで湯浅にスイッチ。湯浅は無失点で切り抜け、及川－ネルソンとバトンをつないで完封リレーを完成させた）

　新人への配慮もあるのかな。無理をさせたくないというね。ただ、ここを乗り越えれば、さらに自信がついて強くなるんだろうけどね。次に期待かな。

　広島相手に２試合連続完封。この３連戦は初戦の２失点だけだからね。投手陣の強さは変わらないし今年は打線も元気。昨年と比べれば雲泥の差でしょう。だから今の阪神なら交流戦に突入しても互角以上に戦えるはずだ。

　交流戦の結果によっては、それまでの勢力図に変化が生まれることもあるが、今の雰囲気なら逆に他のセ・リーグ５球団との差が広がる可能性すらあるように思う。

　まずは阪神同様、投手力のいい日本ハムとの“首位対決”に注目だね。