連覇どころかCS進出も危うくなってきた阪神 佐藤義則氏「DeNAに足元をすくわれる可能性ある」

 ペナントレースも終盤戦を迎える中、連覇を目指す阪神に赤ランプが点滅している。2日現在、首位広島に5・5ゲーム差、巨人にも5ゲーム差をつけられている。甲子園に戻って連勝を狙った先の巨人戦も1勝1敗に終わり、なかなか上位との差が縮まらない。

 デイリースポーツ評論家の佐藤義則氏は「もちろん、まだ優勝の可能性は残っているとは思うけど、残り試合数を考えると、かなり厳しい状況なのは間違いない。優勝するためには広島、巨人の2チームを追い越す必要があるけど、両チームが一緒に落ちてくるのは考えづらい」と話す。その理由としては「やはり投手力がいい。巨人は戸郷と菅野。広島も大瀬良、森下、床田といったいい先発がいるので、なかなか連敗しないのではないか」と語る。

 その上で「今の阪神は上を見るだけじゃなく、下のDeNAを気にしながら戦っていった方がいい」と指摘する。2日現在、4位のDeNAとは1・5ゲーム差。連覇の可能性が厳しくなっている阪神に対して、失うものはなにもなく、CS進出一本に絞って突き進むだけのDeNA。両チームのモチベーションの差も気になるところだ。

 佐藤氏はDeNAについて「とにかく打線が充実している。佐野、オースティン、牧、宮崎の中軸がいい働きを見せている」と語る。そこに打率リーグ5位の山本も加わり、強力打線を形成。チーム打率、本塁打数、得点数ともリーグ1位を誇る。「阪神がDeNAに足元をすくわれる可能性は十分にある」とした上で、「阪神とすれば、優勝できなくてもCSに出られれば、まだ日本一になれる可能性は残るんだから」と語る。

 残り22試合、阪神の戦い方でポイントになるのが打線だ。ここにきて投手陣に疲れが見えてきている中、打線の奮起は欠かせない。1番の近本が好調なだけに、中軸がどう得点に結びつけていく打撃ができるか。佐藤氏はお手本にDeNAの牧の名を挙げる。「チャンスで積極的に打っていくこともあれば、進塁打に徹することもある。チームの勝利のために自分を犠牲にする打撃ができるところがすごい」

 一方で阪神打線。確かに森下、大山、佐藤輝の3人で得点圏打率はリーグ3傑を独占するが、牧のような状況に応じた打撃に物足りなさを感じる時があるという。「もちろんチャンスで打ってやろうと意気込むのは悪いことではないんだけど、それだけじゃダメ。追い込まれるまでは好きなように打てばいいけど、追い込まれると、そうそう相手も甘い球は投げてこない。そこは切り替えて、たとえアウトになったとしても最低限、走者を進めるような打撃をすることも求められる。特に終盤戦に入り、1点の重みはより増している」

 昨季は独走Vを果たした阪神だが、今季は開幕から一進一退の戦いが続き、波に乗り切れないまま9月を迎えた。果たして昨季の王者にどんな結末が待っているのか-。

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