恩師が全校生徒に届けた阪神・才木の仲間思い秘話 プロ初登板時の切ない表情の理由

 プロ初登板で力投する才木=17年10月
 須磨翔風高OBの才木(左から2人目)、楽天・安田(右から2人目)、同校前身の神戸西高OBの中日・福(左端)と中尾修監督=21年12月
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 阪神の才木浩人投手(23)が、3日・中日戦(バンテリン)で2020年11月に受けた右肘トミー・ジョン手術から復活し、19年5月1日・広島戦以来の白星を挙げた。兵庫・須磨翔風時代の恩師である中尾修監督(56)は教え子の秘話を明かした。プロ初登板で、初めて満員の甲子園のマウンドに立った際に浮かべた切ない表情。その理由に、才木の人間性がにじみ出ていた。

 才木の感動の復活星から一夜明けた4日。母校・須磨翔風では創立14周年を祝う記念行事が行われていた。創立時から野球部の指揮を執る中尾監督は、行事内で才木の仲間や友人を思う熱い気持ちを全校生徒に熱弁。「4年前にも一回したんやけど、ちょうどこのタイミングやし、もう一回この話をしようかなと思って」と初登板時の秘話を披露した。

 「あの表情が忘れられへんねん」。脳裏に鮮明に刻まれているのが、才木のプロ初登板となった2017年10月5日・中日戦。初めて満員の甲子園のマウンドに上がった試合だった。1点リードの八回に登板し、1回無失点でプロ初ホールド。華々しいデビューを飾ったが、恩師はマウンドに上がった瞬間の、教え子の顔が忘れられないという。

 「緊張している顔でもなくて、うるっとしているような、なんとも言えない表情だった」。テレビ画面越しで見守っていたが、すぐに違和感を抱いた。登板後に電話がかかってきた際には、「どないしたんや」と思わず心配の声をかけた。才木は電話越しで語った。

 「(須磨)翔風の野球部で本当はここに立ちたかったんですよ。翔風の生徒をみんな、ここに連れてきたかった。そういう気持ちでした」

 高校時代は一度も踏めなかった聖地のマウンド。プロ入りを果たし、ようやく夢の舞台に立てた瞬間も、才木の胸中は仲間や友人への気持ちで一杯だった。中尾監督はこの日の節目の行事で全校生徒に才木の熱い思いを伝え、人を思いやることの大切さを説いた。

 19年5月に右肘を故障した時、トミー・ジョン手術前、手術後と、2人は節目には必ず電話で言葉を交わした。「つらい思いをしているのは知っていたけど、あいつは一切『つらいです』と言ってこなかった」。心配をかけたくないという思いをくみ取り、「頑張れよ」とだけ声をかけ続けた。

 1159日ぶりの復活星も、中尾監督はテレビ画面越しで見届けた。「弱音を吐かない。ほんまに“たいしたやつ”や」。才木の活躍は須磨翔風の誇りの1つになっている。

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