阪神・才木 涙の復活星 「本当にしんどかった」右肘手術乗り越え5回0封「楽しいです!」

 3年ぶりの勝利を挙げた才木はヒーローインタビューで涙を見せる(撮影・田中太一)
 ウイニングボールを手に笑顔の才木
 才木を応援する阪神ファン(撮影・山口登)
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 「中日0-3阪神」(3日、バンテリンドーム)

 阪神・才木浩人投手(23)が涙の復活星を挙げた。中日打線を5回5安打無失点に抑え、19年5月1日の広島戦以来1159日ぶりの勝利を手にした。20年11月に右肘トミー・ジョン手術を受け、育成契約も経験。試合後のインタビューでは苦しかった日々を思い返し、涙で言葉を詰まらせた。苦難を乗り越え、第2章のマウンドが始まった。

 三塁側、左翼側のスタンドをジッと見つめ、才木はフッと息を吐いた。目に映ったのは、称賛の拍手を送る温かい虎党の姿。「本当に3年間リハビリで手術もあって本当にすごくしんどかったんですけど…」。試合後のヒーローインタビュー。長すぎた苦難の道のりが走馬灯のように頭を巡る。思わず涙がこぼれた。2019年5月1日・広島戦以来、1159日ぶりの白星。待ちわびたこの瞬間を、グッと目を伏せてかみしめた。

 「お世話になった人たちの思いも一緒に持って来られたらと思って、思いっきり腕を振りました」。サポートしてくれた人たちがいたからこそ立てた、19年5月12日・中日戦以来、1148日ぶりの1軍の舞台。全力で投げる姿が恩返しになると信じた。

 硬い表情で上がった初回のマウンド。先頭・岡林を5球直球で空振り三振に斬り、続く溝脇はフォークで2者連続空振り三振。三者凡退の立ち上がりを決め、吹っ切れた笑顔でベンチへ駆けた。

 最大のヤマ場は3点リードの五回。1死満塁の危機を招いたが、「強気な姿勢で攻めていこう」と燃えた。柳を3球で空振り三振、岡林を直球で押し切って三邪飛。この日一番の笑顔がはじけた。5回5安打無失点、無四球で5奪三振。矢野監督は「イニング途中に『どうや』って聞いたら『楽しいです!』って。いいスタートになった」と称賛した。

 「日曜日、絶対泣いてしまう」。この試合に懸ける思いは、それほど強かった。19年5月から始まった右肘痛との戦い。20年11月に右肘トミー・ジョン手術を受け、実戦復帰してからも思い通りに行かない日々が続いた。

 痛みがある中で投げていたクセが抜けず、肘が下がったフォームに。「自分のボールに失望してる」ともがき苦しんだ。それでも、動画を繰り返し見返すなどして原因を細かく追究。口癖の「野球うまくなりたい」の言葉通り、四六時中、野球で頭を埋め尽くして復活の道をたどった。

 故障明けを考慮し、一度抹消されることになったが、この1勝が再出発の証し。「53歳まで野球をやる」が才木の野望だ。もう、どんな困難も乗り越えられる。ここから羽ばたけ!才木浩人!

 ◆1159日ぶり勝利 才木の1軍での勝利は2019年5月1日・広島戦(甲子園)以来、1159日ぶり。登板は先発した同年5月12日・中日戦(同)以来、1148日ぶり。この時は敗戦投手だった。

 ◆トミー・ジョン手術で復活した主な投手 ロッテ・村田は1983年に手術し85年に17勝。阪神・藤川はカブス時代の13年に手術し、阪神復帰後の17年から3年連続50試合登板。エンゼルス・大谷は18年に手術を受け、21年は投手で9勝、投打にわたる活躍でシーズンMVP。

 ◆才木浩人(さいき・ひろと)1998年11月7日生まれ、23歳。兵庫県出身。189センチ、88キロ。右投げ右打ち。投手。須磨翔風から2016年度ドラフト3位で阪神入団。17年10月5日・中日戦でプロ初登板(救援)。20年11月に右肘のトミー・ジョン手術を受け同年12月に育成契約。22年5月に支配下再登録。

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