阪神・青柳 魂の109球 大野雄と白熱投手戦 九回まで0封も十回力尽き雪辱誓う

 中日打線を抑え込む先発の青柳
 延長10回、サヨナラ打を打たれ、ぼう然とベンチへ引き揚げる青柳
 サヨナラ負けに肩を落とす青柳に声をかける梅野(撮影・飯室逸平)
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 「中日1-0阪神」(6日、バンテリンドーム)

 敗れはしたものの、白熱の投手戦を演じた。阪神は延長十回、今季4度目となるサヨナラ負けを喫した。先発した青柳晃洋投手(28)は、偉業に近づく快投を見せていた大野雄に、一歩も引かない投球を披露。最後は黒星を背負う形となったものの、3試合連続完投となった右腕を責められない。次は打線が援護して、白星を輝かせたい。

 あまりにも悲しい結末が待っていた。青柳の魂の109球は勝利で報われなかった。0-0で迎えた十回1死満塁。石川昂に打ち返された白球は前進守備の二遊間を抜けていった。歓喜の中日ナインを横目に、背番号50は味方に肩をたたかれながら、三塁ベンチへ下がっていった。

 「最後の十回を任せてもらえたのに簡単にサヨナラ負けを食らった。そこだけはちょっと情けないというのがあります」。十回途中、5安打1失点で敗戦投手となった右腕は悔しさをにじませながら最初に自分を責めた。

 誰も責めることはできない。十回2死まで完全投球を続けていた大野雄と堂々と渡り合った。「大野さんが本当にいいピッチングをしていたので、絶対に負けないように、1点も取られなければ負けはないと思っていた」。打線の援護が全くない中で黙々と腕を振り、スコアボードに「0」を並べていった。

 九回表の攻撃、2死から27人目の打者として青柳が打席に入ると、敵地のスタンドから大きな拍手が湧き起こった。何とか自身のバットで「H」ランプをともそうと、懸命に大野雄の速球に食らい付いた。最後は二ゴロに打ち取られたが、場内は再び大歓声に包まれた。

 直後の九回裏は三者凡退に抑えた。得点を許すと即、大野雄の完全試合を成立させてしまう危機だった。「七、八、九回と1点取られたらおしまい、サヨナラ(負け)だというイメージで投げていたので、そういう緊張感はあった」と冷静に自分の投球を貫いた。

 この一戦の前に立てた目標が、昨年の東京五輪で共に戦った大野雄に投げ勝つことだった。「そういう感じで投げていたけど、結果負けてしまったので何とも言えない」と最後の最後に力尽きたことで充実感はない。それでも自身初の3戦連続完投の安定感は本物。規定投球回数にギリギリ到達し、防御率0・76はリーグトップだ。

 「ずっとこういうすばらしいピッチングを続けられるように、任されたイニングは0で勝てるように頑張ります」。今季初黒星となったが、次こそやり返す。矢野阪神の大逆襲の中心となるエースが雪辱を固く誓った。

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