【虎戦士にエール】大智君は土佐の宝。みんなが応援団 ドラ1森木の5、6年時校長が当時を回顧
阪神に縁のある人物が選手にエールを送る「虎戦士にエール」(随時掲載)。今回は、高知県土佐市立蓮池小学校の前校長・青木美珠さん(64)が登場する。ドラフト1位・森木大智投手(18)=高知=が5、6年時に校長を務め、学校生活を見守ってきた。心優しい性格で地域の人からも愛される素顔が垣間見えた。
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校舎に子どもたちの元気な声が響く。全校生徒約200人の小学校で、森木はのびのびと育った。青木さんは懐かしそうに当時を振り返る。
「大智君は、自分の考えをしっかりと自分の言葉で伝えることができる子でした」
心優しい少年だった。6年時、困っている下級生がいると迷わず「どうしたの?」と声を掛け、その場でトラブルを解決した。当時、森木が下級生への接し方について書いた作文にはこう記されている。「もし自分がいけないことをしたなと思ったら、すぐに『ごめん』と言えるように、これからも声を掛けていきたい」。ただ優しいだけではなく、より良い方向に導いてあげるお手本のような存在だった。
地域の人からも広く愛されている。青木さんは特に印象深かった出来事があるという。福祉教育の一環として実施している「にこにこ広場」という地域の高齢者との交流会でのこと。演目の合間に時間が空いてしまった際、森木はすぐさま周囲に「タオルないですか?」と尋ねた。タオルを手にすると、解説をつけながらシャドーピッチングを即興で披露。「それがあまりにもかっこよくて」と青木さん。会場は割れんばかりの拍手に包まれたという。
プロを目指して野球に情熱を注いでいたが、それだけではないのが魅力だ。森木は低学年から5年時まで、高知県無形民俗文化財「蓮池太刀踊り」に取り組んだ。11演目ある踊りで、毎年11月に西ノ宮八幡宮で行われる秋祭りで奉納される。森木は野球と平行して踊りの練習に通い、高学年では真剣を使用して伝統文化の継承にも貢献した。
ドラフト指名後には、土佐の町中が森木の話題で持ちきりだったという。「地域の方もお会いすると、みんな大智君の話をしています。『にこにこ広場の時の、あの子やね』って。大智君は土佐の宝。みんなが応援団です」と青木さん。心強い大応援団をバックに、森木はプロの世界で躍動する。