阪神・佐藤輝 執念安打と堅守で首位0差貢献「もう、とにかく気持ち」

 7回、左前打を放つ佐藤輝(撮影・飯室逸平)
 7回、同点打を放った坂本を笑顔で迎える
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 「広島1-1阪神」(23日、マツダスタジアム)

 きれいな当たりじゃなくていい。とにかくつなぎたかった。1点を追う七回2死一塁。阪神・佐藤輝は先発・森下の初球149キロに詰まらされながらも、執念で左前に落とした。一走・ロハスも三塁まで激走だ。ルーキーの泥臭い一打が、坂本の同点打を呼び込んだ。

 「もう、とにかく気持ちで打ちました」

 試合後の短い言葉が懸命な思いを物語る。この夜は4試合ぶりに「7番・右翼」で先発出場。絶対に負けられない一戦に起用され、スタメン3試合連続安打で応えてみせた。

 そこまでは、三回の第1打席で147キロに空振り三振、五回は1死一塁からフォークにバットが空を斬り、歴代ワースト単独8位となる171三振に。ただ、いずれもあっさりと終わったわけではなく、ファウルで粘るなど2打席で16球投げさせた中で、Hマークの予感を漂わせていた。

 矢野監督は「もちろん一人ではホームランしか点入らんからね。前(の打者が)出てくれたからやし」とえびす顔。ヒーロー・坂本はもちろん、好機をお膳立てした2人の働きもたたえた。

 マツダスタジアムはプロの厳しさを味わった場所だ。開幕2カード目の3月30日・広島戦。佐藤輝は森下と栗林に歯が立たず、プロ初の1試合3三振を喫した。ゲームセットの瞬間を打席で迎え、悔しさのあまり、ベンチのラバーにバットをたたきつけたほどだ。あれから7カ月。アーチ量産もあれば、無安打地獄に苦しんだこともあった。浮き沈みの激しさも規格外。濃厚なルーキーイヤーを過ごし、広島の虎党に成長した姿を披露した。

 八回には堂林の飛球にフェンスを恐れず、ジャンピングキャッチ。堅守で貢献し、最後までグラウンドに立ち続けた。泣いても笑っても、残り2試合。怪物ルーキーが底力を解き放つ。

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