【高代延博氏の眼】奇跡の風か逆風か 阪神逆転Vのカギを握るのは広島

 「阪神6-1中日」(21日、甲子園球場)

 阪神が中日に勝ち、ヤクルトが広島に敗れたため、マジック3は変わらなかった。残り試合は阪神が3、ヤクルトが5で、ともに広島戦を2つ残している。デイリースポーツウェブ評論家の高代延博氏は「台風の目」という広島との戦いに注目する。

 阪神が奇跡を起こすには残り試合をすべて勝つしかない。それが逆転優勝の条件になるが、まずはそのうちの1つをクリアしたね。

 先発した高橋の投球は見事だった。8回を1安打の無四死球。ほぼ完璧な内容だったが、同時に坂本のリードも光った。

 初回、先頭の京田に対して初球をスライダーから入った。打者からみれば、これは意外だったはずだ。高橋といえば伸びのある直球が特長で、その球に手こずり打ちあぐむ。

 ところが、いきなり変化球。結局2ボールからの3球目の直球で中飛に仕留めた。

 捕手には“打者に考えさせる”という仕事があるが、坂本はそのあたりが長けている。観察眼があり、相手の心理を読むのがうまい。

 内角球を使うタイミングもいい。二回、ビシエドへは内角へ食い込むカットボールで詰まらせ、一ゴロに打ち取った。

 ビシエドの弱点はインサイド。ここを徹底的に攻める。バットが遠回りする彼は、外角の甘めが最も危険だからだ。

 捕手の要求通りに投げる高橋も立派だが、慎重に組み立てる坂本のリードは、ここ8試合連続で先発マスクをかぶっていることが証明していると思う。

 試合が落ち着き、投手陣の持ち味を引き出して、失点を最小限に抑えている。この最終盤で粘り腰を発揮している理由の一つではないだろうか。

 一方、優勝目前のヤクルトはこの日の広島戦で、打ち合いの末に敗れて足踏み。阪神戦の不振がウソのように点を取ったが、それ以上に取られてしまった。

 今の広島は強いね。若いチームで、みんなポジションを離すまいと必死だ。2軍から上がってきた宇草も一気にレギュラーを取る勢い。鈴木誠也は首位打者だけでなく本塁打王も狙える位置にいる。

 その広島とは阪神もヤクルトも2試合ずつ残している。阪神は負傷退場した近本の状態が心配だが、大詰めを迎えたペナントレースを面白くしているね。

 ヤクルトは今季、広島戦を得意としているが、もう相性など関係ない。1勝するのに脂汗を流すことになるはずだ。

 広島は前半戦を借金12で終えたが、21日現在で7。後半戦は貯金5で急激に力をつけている。

 ヤクルトの広島戦は22(神宮)日と29日(マツダ)。阪神の広島戦は23日と24日(いずれもマツダ)。

 ここへきて怖い台風の目となっている広島との対戦が、優勝の行方を左右しそう。

 阪神にとっては奇跡を起こすのも、アゲンストの風になるのもカープ。この台風の目がどう動くかだね。

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