「阪神２－８広島」（２９日、甲子園球場）

　虎党の歓声は瞬く間にため息に変わった。２点を追う五回無死三塁。代打で登場した阪神・佐藤輝の打球は左翼を襲ったが、犠飛には距離が足りない。三走・梅野はスタートを切れず、怪物ルーキーは天を仰いだ。

　これで５４打席連続ノーヒット。９３年・トーベ（オリックス）の５３打席連続ノーヒットを超え、ＮＰＢ野手ワースト記録を更新してしまった。２軍再調整期間を挟むとはいえ、最後の快音は１カ月以上も前の８月２１日・中日戦（バンテリン）までさかのぼる。

　この日は２３日の１軍再昇格後、初めてスタメンから外れた。前夜２三振を喫するなど、は３打数無安打。連日、早出特打に励んでいるが、結果につながらないのが苦しい。

　３０日の広島先発は左腕・玉村のため、２試合連続ベンチスタートの可能性もある。広島３連戦前の２７日に矢野監督は「底は抜けてると思う」と復調の兆しを感じ取っていたが、無安打地獄は深い。怪物新人の苦悩が再び色濃くなってきた。