阪神・西勇 移籍後2年連続10勝!8回0封で3年連続7度目の大台
「阪神5-0ヤクルト」(16日、甲子園球場)
ベンチ後方に座ったまま、勝利の瞬間を見届けた。ようやく重圧から解かれ、阪神・西勇の顔にも笑みが浮かぶ。悪夢の3連敗で迎えた一戦。チームを背負うエースは、8回を無失点の熱投で応えた。節目となる3年連続7度目の10勝。Bクラス転落危機で連敗を止めた。
エース道を歩む覚悟を決めた1月。「背中で引っ張る投手になる」と決めた。「やっぱり西さんがエースだなって、みんなに思われる爆発的な成績を残す」。新年の誓いは今、現実に変わろうとしている。チームの窮状に奮い立つ。前夜、梅野にLINEを送った。
「昨日から2人で、しっかりやっていこうと、話をしていたので。いい展開で、いいリード。僕自身、すごく投げやすかったです」
12三振を奪った8日の広島戦から一転、持ち味の打たせて取る投球で凡打の山を築く。最大のピンチは七回。2四球と味方の拙守で1死満塁とした。ここで西浦に対してカウント1-1から3球目、外角のスライダーで三ゴロ併殺打に斬る。状況に応じた投球の幅、打ち取る引き出しの多さが、ピンチで支えになる。
10月に入って3戦3勝。「未知数だった。投げるにつれて難しさは感じた」と、120試合制のシーズンで10勝に到達した。2リーグ分立後、阪神移籍1年目から2年連続で達したのは安仁屋宗八、江本孟紀、小林繁に次ぐ4人目の快挙。球団が誇る大投手に肩を並べ、エースの称号を確かなものにした。
こだわりを持つイニングは、132投球回でリーグトップ。節目の10勝で単独2位とし、1点台も見えてきた防御率2・05は、同3位と各部門で上位を占める。名実ともにチームを背負う活躍。連敗を止め、確信する。「雰囲気がガラッと変わった。ここからまた、勝てる」。エースは笑顔で再進撃を断言した。