阪神・藤浪、脅威のセットアッパーや 最速159キロでプロ初ホールド!

 「阪神7-3中日」(29日、甲子園球場)

 阪神が逆転で13連戦の初戦に快勝した。藤浪晋太郎投手(26)が6-3の八回に3番手で登板し、1回を無安打無失点。最速159キロの直球で打者を圧倒し、プロ初ホールドを記録した。チームは3カ月連続で月間勝ち越しを決めた。脅威のセットアッパーとして新境地を開拓しつつある右腕が、コロナショックで緊急事態のブルペンを救う!

 ひりつく場面をゼロでしのぎ、藤浪は駆け足でベンチに戻った。白い歯がカクテル光線で映える。ようやく笑えた。公式戦では中継ぎとして甲子園初登板。転向後“3連投”で初ホールドを記録した。「死ぬほど緊張した」と振り返る一戦。方程式入りで勝利をつなぎ“八回の男”を襲名だ。

 「先発の時とは違って、人の勝ちが懸かった場面で投げることが、こんなに緊張するとは思っていませんでした」。リードは3点、先頭の阿部に剛球を投げ込んだ。4球目、今季最速の159キロを計測し、どよめくスタンド。フルカウントから四球で歩かせたが、1万785人の観衆が拍手で強く後押しした。

 木下拓を154キロで二ゴロに斬ると、代打・溝脇、大島と3者連続で二ゴロに抑えた。リリーフ転向後、26日のヤクルト戦から3戦連続登板。同点、6点リードの登板を経て、勝ちパターンの一員として八回を任された。高橋→エドワーズとつないだバトン。落とすわけにはいかなかった。

 コロナショックによる緊急昇格。再調整中に鳴尾浜で藤川から助言を受けた。ブルペンで身ぶり手ぶりを交えての熱血指導。打倒巨人に生きた先輩から魂を受け継いだ。今季限りで現役引退を表明。藤浪にとっても憧れの存在だった。8年前、入団会見で夢を語った。

 「藤川さんのような投手になりたいです」

 ずっと背中を追い掛けてきた。「感謝しかないです」。共に過ごした5年間に思いは尽きない。同時にレジェンドの姿を見れば自然と童心に返る。小学6年生の頃、球宴での予告三振を見た。「後にも先にも衝撃を受けたのは、あの試合しかない」。カブレラ、小笠原との真っ向勝負に心が躍った。夢は憧れに変わり、憧れはプロ入りで目標に変わる。

 「子どもたちに夢を届けたい。予告三振はできないけど、僕が球児さんに憧れたように、憧れられる存在になりたい。ならないといけない」。159キロの直球にどよめき、四球に痛烈なヤジが飛ぶ。称賛も非難も受けるのは宿命。栄光を知り、挫折も味わった。時に涙し、くじけそうになりながら、新境地で前を向いて戦っている。

 正念場の13連戦を白星発進。八回を託した矢野監督も「特別な声援だった」と目を細めた。「ああいう顔で野球がやれるのは晋太郎も幸せです」。26歳、道半ばだ。笑顔でベンチに戻る藤浪に、地響きのような大歓声が届く。ようやく笑えた。残り35試合。閉ざされたドアの向こうに、新しい輝きが待っている。

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