「練習試合、阪神１０－３広島」（３日、甲子園球場）

　華麗なバット投げはアーチ確信の証しだ。打球は低い弾道でグングン伸びて、バックスクリーンへ。ベテラン阪神・福留の４３歳初本塁打は新助っ人ボーアと初のアベック弾。悠然とダイヤモンドをまわると、涼しい顔でナインのエアタッチに応えた。

　「しっかりと自分のスイングをして、一発で仕留めることができて良かった。打者有利のカウントで甘い球を仕留めることができるのはいいこと。打球方向としてもセンターの方に飛んでいるので、良かったと思います」

　実戦再開後初の一発は六回に飛び出した。１死から一岡の１４４キロ速球を強振。ボーアの決勝２ラン後に放ったアーチで、大量７得点の波状攻撃につなげた。

　約２カ月の空白期間を感じさせない。二回に先発九里から四球を選ぶと、五回は中田から２打席連続の四球で出塁。「自分のタイミングの取り方だったり、考えながらやっている。一打席、一打席、考えて意図を持ってやれている」。福留らしさが凝縮された打席内容だ。

　し烈な外野競争の中、ベテランが突き放しにかかっている。これで紅白戦から３試合連続安打、打率・３７５のハイアベレージをマーク。この日は左翼守備にも就くなど、矢野監督も球界最年長選手に絶大な信頼を寄せている。

　「４３歳になるけど、チームの手本になる。外野の芝でバーって走る姿とか、今日のホームランにしてもね。いい姿を見せてくれているので、チームとしてはありがたいけどね」

　今後は実戦感覚を１００％に近づけていく。「試合の中の流れだったり、いろいろなことがあるので。自分の打席で何ができるか、守るにしても走塁にしても、一つ一つ確認しながら、考えながらやっていきたい」。熟練の技術とパワーは今年も健在。このまま開幕スタメンへ突き進む。