【矢野阪神V逸の影と逆襲への光4】取り扱い間違えたソラーテ

 まさに“光と影”をもたらした男だった。今季前半、得点力不足に苦しんだ阪神は、矢野監督が強く希望する大砲の獲得に球団は動いた。7月21日に来日したのが、メジャー75本塁打を誇るソラーテだった。

 同25日のDeNA戦でリーグ最多となる10度目の完封負け。翌26日の巨人戦からの緊急昇格が決まったソラーテは、デビュー戦でいきなり決勝2ランを放つ。さらに30日の中日戦ではサヨナラ2ランを含む2発。劇弾、そして本塁打後の“セクシーダンス”に甲子園は「救世主登場!」と沸きに沸いた。

 だが、それは一時的な劇薬にすぎず、その“副作用”は想像以上だった。とにかく守れない。初めて甲子園での練習を見たある関係者は、その時点で「捕球、送球とも相当レベルが低い」と嘆いた。

 実戦でも拙守が続く。アウトにできる打球が外野に抜けていく。内外野の中間に上がった飛球を追い掛けようともしない。「どこでも守れるユーティリティー」という触れ込みは、実は「どこもまともに守れない」ということだった。

 肝心の打撃も打率1割台に落ちた。そしてソラーテ優先の布陣で、慣れない遊撃に回った糸原も痛い失策を犯す。別の関係者は「あの時期が一番つらかった。みんなが浮き足立っていた」と明かす。1軍にいた期間は9勝11敗1分け。借金は今季最多の7にまで膨れあがった。皮肉にもソラーテの2軍降格後、チームは5連勝を決めた。

 そして、あの“造反劇”が起こる。1軍再昇格となった9月6日。広島にやってきたソラーテが「モチベーションが上がらない」という理由で、練習にも参加せず即帰阪した。関係者の話を総合すると、2軍でも守備位置を巡ってソラーテは首脳陣と衝突。さらに1軍再合流日にスタメンでないことを知ると「俺は試合に出るために来たんだ」と激高したという。

 ソラーテの2軍降格時、胸の痛みを訴えて途中交代した直後のマルテの症状を待っての決定だったこともあり、矢野監督が直接、事情を説明することができなかった。また、1軍再昇格時も首脳陣は広島3連戦最終日となる同7日からのスタメン復帰を描いていたが、そのプランも伝わっていなかった。

 結局のところ、すべてはコミュニケーション不足。元メジャーリーガーのプライド、気分屋が多いといわれるラテン系選手…特に細心の注意が必要となる案件ながら、取り扱いを間違ったと言わざるを得ない。

 阪神は何かと外国人の騒動が多い。メッセンジャーに関しても、引退会見当日までトラブルがあったと聞く。守備面のリサーチ不足など、獲得段階を含めた今回のソラーテ騒動を契機にできるか。渉外部門の抜本的な改革に踏み切らなければ、また同じ過ちを繰り返すことになる。

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