ファイナルSの阪神キーマンは近本!虎のご意見番が語る 対巨人“下克上”のカギ

 シーズン3位の矢野阪神がCSファーストSで2位・DeNAを2勝1敗で下し、2014年以来、5年ぶりのファイナルS進出を決めた。5日の初戦で6点差を大逆転で制し、6日の第2戦はサヨナラ被弾で敗れたもののベテラン福留が起死回生の同点弾で意地を見せた。そして7日の第3戦は守護神・藤川が2回零封で粘るDeNAを寄り切った。戦うごとに粘り腰を増す“ミラクル猛虎”は9日から東京ドームでリーグ覇者・巨人とファイナルSを戦うが、ご意見番・小山正明氏はキーマンに「近本」を挙げ、「彼を旗頭にして日本Sまで突っ走れ‼」と後輩たちにエールを送った。

 ◇     ◇

 一瞬、11年前のシーンが脳裏に浮かんだ。2008年、京セラドームで行われた第1S(現在のファーストS)の第3戦。中日と対戦成績1勝1敗で迎えた決戦は、八回を終わって0-0と緊迫の展開をみせ、運命の九回に突入した。マウンドには絶対的ストッパー・藤川球児。誰もがゼロで終えて裏のサヨナラ勝ちを想像したが、敵の4番・ウッズに決勝2ランを浴び、巨人の待つ第2S(現在のファイナルS)進出が断たれた。雨が降りしきる横浜スタジアムに立つ11年後の藤川にあの時を重ねながら見たのだが、心配は全くの杞憂に終わった。年月を重ね、多くの辛苦を経験してきた39歳の右腕は、素人のこちらが考える以上に“鉄腕”だった。

 ハラハラ、ドキドキのDeNA3連戦を見事2勝1敗で制し、ミラクルなファイナル進出を決めた。シーズン最終盤の6連勝は奇跡の連続だったが、今回は徳俵で踏み止まってCS進出を果たした『チームとしての底力』で本拠地で戦ったDeNAを撃破したと言える。さっそく、小山正明氏にこの快進撃の感想を聞いた。6日に同時代で活躍した400勝投手・金田正一氏の死去が報じられ、少なからずショックを受けていたレジェンドは後輩たちの激闘をどう見たのか…。

 -やりましたね。シーズン終盤のミラクルは本物でした。

 「ほんとによう勝ったよ。公式戦最後の6連勝は正直言ってするとは思わんかったが、『流れ』というかな。あと一つ勝てばCSというところで広島が負けて阪神に自力進出の可能性が復活し、そこを起点に最後まで勝ち続けた。その流れ、勢いでDeNAを破った感じやね」

 -最大6点差を逆転した5日の初戦が大きかった。はっきり言って2番手・島本が4失点して1-7になった時点で、もうCS敗退を覚悟しました。

 「シーズンでもそうないことをCSでやってのけたんやから大したもんや。後半になったら中継ぎ、抑えが格段にいい阪神のもん。DeNA中継ぎ陣の出来の悪さにうまくつけ込み、自分の形に持ち込んだよ」

 -それにしても驚異的な粘り腰です。中継ぎの絶対的存在だったジョンソンが夫人の出産に立ち会うために帰国。そんな苦しい状況で、しかも初戦で勝ち頭の西が初回1死も取れずに負傷退場ですから…。

 「西の初回交代はとんでもない予想外。もちろん、CSが始まる前に母国に帰っていったジョンソンもそうやが、西の場合はある程度イニングを投げてくれると考えてたからなぁ」

 ジョンソンを欠き、初戦先発の西にアクシデントが生じる“異常事態”の中、中継ぎ陣、そして打線が周囲の想像を超える踏ん張りをみせた。矢野監督の采配も“執念”の一語。第3戦は好投の先発・高橋遙を四回のチャンスで代打を送り、その後は島本、岩崎の“リベンジ魂”にかけた。島本は初戦で4失点、岩崎は2戦目で代打・乙坂にサヨナラ2ランを浴びていたが、それでも指揮官は若き両左腕に命運を委ねた。そして最後は守護神・藤川のイニングまたぎ…。

 -今回のファーストSは矢野監督のタクトが光った印象です。

 「シーズン最中は采配に対して色々思うこともあったが、このシリーズに関していうと、投手陣で勝ち切ってやる、という強い意志を感じた。これは一定の評価をしてええんやないかな」

  -さあ、いよいよ9日からファイナルSです。リーグ覇者の巨人に対して阪神はどう戦うべきか。小山さんが考えるキーマンは誰でしょう?

 「何だかんだと言うても近本やろう。彼が先陣を切って得点力不足の看板を下ろさんとダメやで。DeNAとの初戦、3安打2盗塁でかき回したように、出塁して巨人を揺さぶることやね。それと、木浪や北條が巨人投手陣相手にどんな仕事ができるか。僕はそこにも注目しとる」

 近本をファイナルSのキーマンに指名した氏だが、巨人戦のポイントは「阪神投手陣vs巨人打線」だという。12球団トップのチーム防御率3・46を誇る虎投が、リーグ最多の186本塁打を記録した重量打線をどう封じ込めるか。特に、チーム最多の8本塁打の丸、対戦打率4割を超す吉川尚、石川などの伏兵にも気を配る必要がある。

 「坂本や岡本の長打力を警戒しつつ、伏兵陣にも気を抜かないように。西のケガの状態がどうか、ジョンソンが再来日して投げられるのか、など不確定な要素もあるけど、阪神は自分とこの戦い方に徹するしかない。DeNA戦のように、総力で1つ1つ勝ち星を積み重ねること。今の勢いで突っ走ってほしいね」

 狙うはイッキの4連勝で日本Sに進出した「2014年」の再現-。しかし、そう気負う必要は全くない。負けて元々のスーパーチャレンジャー。覇者巨人に一泡吹かせたる-ぐらいの気楽さで臨めばいい。無欲の虎なら、また世間をアッと言わせるかもしれない。

(デイリースポーツ・中村正直=1997~99年阪神担当キャップ、前編集長、現販売局長)

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