原口、大腸がんから復活へ207日ぶり実戦復帰「野球はやっぱり楽しい。最高です」
「ウエスタン、阪神2-1中日」(8日、鳴尾浜球場)
大腸がんからの完全復活を目指す阪神・原口文仁捕手(27)が8日、ウエスタン・中日戦(鳴尾浜)で207日ぶりに実戦復帰した。八回1死から代打で途中出場し、右飛に倒れたが「野球はやっぱり楽しい。最高です!」と率直な心境を明かした。再び大舞台へ。これまでも困難を乗り越えてきた男が、新たなスタートを切った。
胸を張り、堂々と力強く復帰の打席へ向かった。大腸がん手術から初めての実戦。「代打・原口」がアナウンスされると、スタンドから拍手が沸き起こる。この時を待ち望んでいた多くのファンに勇姿を披露した。
「打席に入る前まですごく緊張していた。ベンチ裏でも『緊張してるな』と言われていたので。でも、打席の中では、意外と今まで通りの打席の心境で臨むことができた」
同点の八回1死。伊藤隼の代打として登場。2番手・伊藤準の初球を冷静に見逃した後の144キロ直球に反応。ファーストスイングで鋭い打球を右中間フェンス際まで運んだが、惜しくも右翼・藤井の好守に阻まれた。
昨年10月13日の中日戦(ナゴヤドーム)以来、207日ぶりの実戦。状態を確認するよりも、勝利に貢献したい気持ちが大きかった。「投手陣も踏ん張っていたし、ヒットになればチャンスになるなと思っていたので悔しかった」と振り返ったように何度も首をひねり、唇をかみしめながらベンチへ戻った。
1月24日に大腸がんであることを公表。懸命なリハビリを経て試合出場までたどり着いた。「生きているということがすごくありがたいことだと実感できた」と偽らざる心境を吐露。続けて「野球ができていることは僕の中ですごく幸せなこと。活躍することでたくさんの人に勇気だったり、夢だったりを与えられると思うと、本当に頑張るしかない」と力を込めた。
試合後には平田2軍監督に促され、完全復活を信じるファンにマイクパフォーマンス。「おつかれさまでした!野球はやっぱり楽しいですね。最高です!今日も応援ありがとうございました」。再びプレーできた喜びと共に、感謝の言葉を口にした。
ようやく立つことができた復活のスタートライン。だが、原口にとってはここからが勝負。多くの人の希望を背負い、支えてくれた人への恩返しの気持ちを胸に、復活ロードを歩む。