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【矢野燿大という男・下】心の底に根ざすいつも誰かを思う気持ち

 ウエスタンリーグ優勝時、胴上げしようとする選手たちにお辞儀する矢野2軍監督(中央)
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 阪神の第34代監督に、今季2軍監督を務めた矢野燿大氏(49)の就任が決まった。現役時代には正捕手として阪神の2度のリーグ優勝に貢献。今季は2軍監督としてファームを12年ぶりの日本一へと導いた。そんな矢野氏の素顔を、デイリースポーツ阪神担当記者が紹介する。

  ◇  ◇

 ひと言で表すなら、「気配りの人」だろうか。選手、コーチ、裏方さん、記者に対しても、いつも目線を相手に合わせて接してきた。

 野村監督の下でプレーし、捕手としてのイロハを毎日勉強していた頃。“暗黒時代”と呼ばれる期間だった。試合に負ければ野村監督から「矢野が悪い」「矢野の責任」と言われた。翌日の新聞には容赦なく、自分が叩かれている記事が載った。「あの時は、新聞を開けなかった」。酒が飲めない新監督。遠征先での食事後は、2軒目に喫茶店へ。コーヒーを口にしながら、当時の“苦い経験”を振り返った。

 現役時代、試合に敗れてクラブハウスへ引き揚げる通路では一切、笑顔を見せなかった。「俺が少しでも、記者との会話で笑顔を見せて、それをピッチャーが見たら良くないのよ」。チームの勝敗を背負う覚悟が、垣間見えた。

 愛用のミットにオイルを塗り、手入れを施して帰宅。だが現在、2軍育成コーチの安藤が先発する前日は、右腕からの要望でオイルを塗らなかった。「年下の安藤が言ってきてくれたんだから。女房だからさ、気持ちよく仕事をしてもらわんとね」。誰かを思う気持ちはいつも、心の底に根ざしている。

 ファーム日本選手権の前には「みんなでやりたい」と全員野球の姿勢を示した。日本一を勝ち取った試合後、出番のなかった中継ぎ投手には「すまんかった」と声を掛けた。2軍監督として、最後まで気配りを忘れなかった。

 耳に残っている指揮官の言葉がある。「チャレンジしてるヤツって、カッコいいじゃん」。鳴尾浜から甲子園に舞台が変わっても、矢野新監督の「挑戦」は続いていく。

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