阪神弟日本一!史上初TG決戦で決める 矢野2軍監督「勝って胴上げ」を実現

 「ファーム日本選手権、阪神8-4巨人」(6日、KIRISHIMAサンマリンスタジアム宮崎)

 これ以上ないフィナーレだった。ウエスタン・リーグ覇者の阪神が、06年以来となる12年ぶりのファーム日本一に輝いた。「超積極的」をスローガンにウエスタン首位を快走し、リーグ優勝を決めたチームは、宿敵・巨人との大一番でも普段通りの積極野球を体現した。就任1年目で最高の勲章を手にした矢野燿大2軍監督(49)の下、自身の可能性を広げてきた若虎たち。2軍の快進撃が、虎の将来を明るく照らした。

 澄み渡った宮崎の空には、初めて見る景色が広がっていた。監督就任1年目で手にした「日本一」の称号。指揮官は感無量の面持ちで、美酒に酔いしれた。

 「大学も準優勝やし(現役時代は)リーグ優勝2回、日本一が1回もなかったから、まさかそんな、2軍監督をやって1年目で、こんな経験させてもらえるなんて」

 リーグ優勝決定時にできなかった「勝って胴上げ」を実現させた。1年間見守った選手たちに身を委ね、4度宙を舞った。胴上げ終了後はマウンド上に置かれ、うつぶせになった指揮官。「何をしてくれてもうれしいもん。監督でユニホームが汚れると思ってなくて」と手荒い祝福に満面の笑みを浮かべた。

 四回に1点を先制されたがその裏、打者一巡の猛攻で一挙6点を奪った。MVPは2安打1打点1盗塁のルーキー熊谷。俊足を武器に塁上を駆け回るプレースタイルは、今年の矢野阪神を象徴する選手の一人だ。ルーキーに指揮官は「顔もエエし、足もエエしね」と優しいまなざしで、今後の成長に期待を込めた。

 チャレンジの重要性を選手に説いた1年間。鳴尾浜に向かう朝、草むしりをしている男性にすれ違い「あいさつしようと思って。でも勇気がいるやん」と指揮官は笑った。だが勇気を出してあいさつをすると、男性は笑顔で返してくれた。「めっちゃ気持ちいい。“勇気の貯金”っていうのかな」。小さな挑戦を、自らも重ねた。

 試合後の場内インタビューで「1軍は苦しいチーム状況ですけど、僕は将来を見据えた時に、楽しみな選手はホントにたくさん出てきていると信じてます。ファンの人たちも選手たちを信じてもらって近い将来、一緒に強いチームを作っていきましょう」と真剣なまなざしで訴えた。

 最高の幕切れとなった監督1年目。「こんなにいいシーズンになるなんて、夢にも思わんかった」。現役時代と変わらぬ端正なマスクを崩し、心の底から笑った。

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