糸井150メートル超特大弾 衝撃V弾で東京D今季初勝ち越し

 8回、勝ち越しの特大ソロを放つ糸井(撮影・棚橋慶太)
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 「巨人2-3阪神」(9日、東京ドーム)

 超人パワーを見せつけた。阪神の糸井嘉男外野手(37)が2-2の八回、右翼席の看板に直撃する衝撃的なビッグアーチを放ち、勝負を決めた。七回にはエフレン・ナバーロ内野手(32)が同点の2号ソロ。ヒットがつながらない中、一発攻勢で宿敵を沈めた。この勝利で、今季初めて東京ドームでの勝ち越しを決めた金本阪神。まだまだセ・リーグの灯は消さない。

 糸井がフルスイングした瞬間、グラウンドが静寂に包まれた。敵地ドームは4万4213人の超満員。それでも、右翼スタンド最上部にある看板を直撃する衝突音が響く。誰一人、動けない。ただ1人、ダイヤモンドを走るために動きだす。超人、復活。衝撃を残す特大弾が決勝点となった。

 「完璧でした。僕らのチームはもう負けられない。勝ちにつながってよかったです」

 思いを体現したのは同点の八回だ。1死で沢村との対戦。2ボールから150キロを狙った。ドームの天井すれすれ、大きく弧を描いた打球が伸びる。看板直撃の13号、推定150メートル弾だ。「人生最高の打球?それくらいだった」。打った瞬間にバットを放り出し、余韻を残しながらのウイニングランだ。

 右足腓骨(ひこつ)骨折が完治せぬままの復帰。痛み止めを飲みながら出場を続けたが、体はすでに限界を超えていた。7月31日からの中日2連戦を欠場した。連敗を見届けることしかできなかった夜。食事をしながら、店の録画テレビに目を奪われた。

 「サントリードリームマッチ」。幼少期に見た、憧れたスター選手たちが両軍に分かれ、真剣に白球を追う姿があった。中村紀洋のフルスイングに感激し、岩村明憲の本塁打に魅了された。「みんな楽しそうやなあ」。心躍らせる、そんな中、1人の左打者が打席に入り、画面に映った。

 「転向した年に2軍戦でお会いした。『頑張れよ』って言ってもらって。バットももらった。うれしかった」

 鈴木尚典。長く横浜で活躍し、マシンガン打線の3番打者として、日本一にも貢献した首位打者2回の大打者だ。投手として日本ハムに入団。だが、3年目に高田繁GM(現DeNA)に呼ばれ、「糸井くん、投手では使えないよ」とコンバートを勧告された。鈴木氏に激励を受けた思い出と同時に、よみがえるのはがむしゃらにバットを振った日々だ。

 原点の記憶から再出発。4日のヤクルト戦から復帰した。この日は初回に左前打、六回に右前打で6度目の猛打賞。5試合で14打数8安打、6打点の大暴れだ。「波に乗って次も勝てるように頑張る」。4番が本塁打を打てば8連勝中。虎は負けない。「いくぞ、トレーニング!!」。試合後は前だけを見て帰路に就いた。残り51試合。ファイティングポーズはまだ、崩さない。

2023-11-05
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