「ＤｅＮＡ５－７阪神」（２１日、横浜スタジアム）

　岩貞の白星を守り、桑原には傷を負わせるわけにはいかない。託された勝利のバトン。一発逆転のピンチで左腕が鮮やかな火消しを見せた。左翼スタンドから注がれる「能見コール」。ベテランが力投でチームを救った。

　「クワ（桑原）には去年、助けてもらっている。１点まではＯＫだから。頭の中は冷静に。勝負は勝負なので、抑えられてよかった」

　出番は２点リードの八回、桑原が１死二、三塁のピンチを招いた場面。反撃ムードが高まるＤｅＮＡ打線を前にしても、平常心で立ち向かった。迎えた代打・梶谷を２ボール２ストライクと追い込むと、５球目のストライクからボールへ変化するフォークで空振り三振。まず、１人目を仕留めた。

　続く桑原は初球の直球で遊飛に。緩急を使った投球術で無失点に抑えた。これで８試合連続無失点とし、中継ぎとしては１４試合で２失点と抜群の安定感を見せつける。

　先発からの配置転換もそつなくこなす。中継ぎに抜てきした際に香田投手コーチは「リリーフとしての経験はそんなにないかもしれないけど、彼の野球の知識という中で、自分の地位を確立してほしい」と期待を寄せ、左腕はしっかりと応えている。後半戦の勝負はこれから。投手陣が一丸となり、巻き返していく。