【狩野目線】虎が一体感を生むヒント…球児の笑顔にあり “技術の更新”楽しむべし

 デイリースポーツ評論家・狩野恵輔氏が独自の視点からプレーを分析する「狩野目線」-。チームが4連敗、今季ワースト借金6と苦しむ中で、藤川球児投手(38)の姿勢に着目した。マウンドで技術を追い求めて野球を楽しむ姿こそ、チームに一体感を生むきっかけになると分析。意欲的に前向きに取り組む姿勢、そして“技術の更新”という野球選手の原点が浮上のきっかけになる可能性を秘めている。

  ◇  ◇

 巨人3連戦を見ていて、感じたことがあります。それは藤川投手のマウンドでの振る舞い方。今は状態もすごくいいし、野球を楽しんでいるように見える。時折笑みも浮かべていますよね。これを見習ってとは言わないけど、チームが低迷する中で、一つの打開策になると思います。

 それはなぜか-。藤川投手の姿から感じるのは、前向きに取り組んでいる、もっとこれを試してみようという雰囲気。若手は負けているから笑顔も出しづらいし、笑ったりすることも簡単にはできない気持ちも分かります。負けが込んでくると、なかなか笑顔を見せて「明るく頑張れ」というのは難しい。でも前向きに取り組む、純粋に野球をうまくなろうという気持ちを持つことは重要です。

 特にペナントレースはほぼ毎日、試合があります。毎日、同じことを繰り返していてはモチベーションもなかなか上がってこないと思います。負けが込んでメンタルも落ち込んでいくと、初心、もっと野球をうまくなろうという気持ちが薄れてきてしまいます。

 野球選手として最も重要な部分。野球を楽しむという点を藤川投手は今、体現できている。チーム全体を見ていると、失敗をしちゃいけない、失敗をしないようにという意識が強い。そうではなく、もっとこうしてみよう、こういうプレーを試してみようと考えれば、前向きにプレーする意識が出ます。

 野球が楽しいと感じる一つの要因に、“技術の更新”があります。子供のころ、できないことができるようになった。自分のイメージ通りのプレーができるようになった。プロ野球選手に限らず、野球をやった人なら分かると思います。野球が面白いと感じられれば、自然と笑顔も出てきますよね。

 今、藤川投手のボールを見ていても1球、1球に意図を感じられる。このコースにフォークを投げたら振ってくれるんじゃないかなと、考えて投げているように見えます。それが38歳を迎えてもまだまだ進化を続けている理由。去年、一昨年とボールのスピードが落ちたとか言われた時期もあったけど、今、防御率は1・50。以前ほど三振は取れないかもしれないけど、抑える技術は間違いなく上がっていると思います。

 技術を突き詰めれば野球は楽しくなる。ベンチでもそういう部分を他の選手や相手チームの選手から感じ取れれば、意欲的になりますよね。そういう一体感がベンチの空気を明るくするし、高いレベルで野球が楽しくなれば自然と笑顔も生まれますよね。

 今回、藤川選手の笑顔を見てそう実感しました。何もニヤニヤして野球をやれというのではなく、全員が技術を追い求める一体感をきっかけに、明るい雰囲気を出してもいいんじゃないかと思います。心底、楽しんで野球をやってほしい-。それがきっと、浮上のきっかけになると思います。

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