高山、土壇場九回に必死のV撃 代打初安打!不振に苦しんだ男が結果出した

 「交流戦、楽天1-2阪神」(16日、楽天生命パーク宮城)

 悩める若虎が球界屈指の右腕を攻略した。決めたのは阪神・高山俊外野手(25)だ。0-1の九回、中谷の右中間二塁打で同点とし、代打・原口も左前打でつなぎ、巡ってきた1死一、三塁。この好機に代打で打席に立つと、楽天・則本から左前へ勝ち越しの適時打を放った。チームは連勝で2位に浮上。背番号9もこの一打で復活への道を切り開く。

 一瞬のうちに、三遊間を白球が抜けて行った。沸き起こる右翼席からの大歓声、そして一塁塁上で確信の表情を浮かべた高山-。練習で何度も何度も追い求めた逆方向への打球が、しびれる1勝を呼び込んだ。

 中谷の適時二塁打で同点に追いつき、なおも1死一、三塁の場面。代打・高山のコールとともに打席に向かうその表情からは、極限まで集中力を高め、ゾーンに入っているような印象すら受けた。その初球。外角に抜けたスプリットに対しきれいにバットが出た。見逃せばボールだったかもしれないが、ヘッドを返さず、きれいに打ち返した打球は痛烈なライナーで三遊間を破り左前で弾んだ。

 今季、代打では初安打となる値千金の決勝タイムリー。高山らしいヒットだったが「逆方向はイメージ通り?いや、そんなとこまで考えていなかったので」と冷静に明かす。明大時代に東京六大学の通算安打記録を塗り替え、1年目には虎の新人最多安打記録も作った安打製造機。何本も何本も積み上げたヒットゾーンが、極限の場面で無意識によみがえったのかもしれない。

 ただそれも課題を克服しようという姿勢があったから-。打撃不振の際に顔を出していた引っかけての一ゴロ、二ゴロをなくすよう、インパクトの瞬間、バットを握る左手の親指をあえて離す。後ろ手の押し込みを緩め、右手リードでスムーズなバット運びが出るようティー打撃から取り組んでいる。

 その技術は大学時代、同じ左打者からせん望のまなざしで見つめられていた。1学年下で大学日本代表の選考合宿中にそのスイングを見た巨人・吉川尚は「どの球種、どのコースにも右手リードでバットが出せる。率直にすごいと思った」と明かしたことがあった。文字通り高山にしか打てないヒット。金本監督も「本当にこの大事な場面で、あそこでよく打ちましたね」と目を細める。

 交流戦初のカード勝ち越しで2位に浮上し、首位・広島には3・5ゲーム差へ詰め寄った。七回以降の逆転勝ちは今季初だ。苦しんだ若虎たちが則本からもぎ取った1勝。その価値はとてつもなく、大きい。

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