光差してきた阪神打線 ソフトバンク&西武は救援陣に難

 「セイバーメトリクスで占う鳥越規央の傾向と対策」

 過去13回行われた交流戦でセ・リーグが勝ち越したのは2009年の1度だけ。そのため「パはセを圧倒」というイメージが根強くあります。18試合制になった2015年からのデータを見ると、確かに3年連続でパの勝ち越しではあるのですが、昨年は5勝差に縮まっています。さらに言えば、勝ち越しカード数で比較すると、17年はセパ同数で、実は力が均衡してきていることがうかがえます。

 昨年の交流戦は、巨人とヤクルトが大型連敗を喫したことによる差と言っても過言ではないでしょう。昨年の阪神は10勝8敗、4カードで勝ち越しという成績ですし、広島も勝ち越し、DeNA、中日は五分という成績ですので、今年もより均衡の様相を呈する交流戦が期待できるでしょう。

 阪神は交流戦前のリーグ戦を2位で終えました。しかも巨人3連戦スイープで心地よくリーグ戦を締めたことで気分良く交流戦に臨めることでしょう。

 交流戦第1週のカードはソフトバンク、西武といきなりAクラスのチーム。しかも両チームの先発は表ローテとなる可能性が高く、特に西武は第1戦で菊池の復帰が濃厚、第2戦は3、4月の月間MVP多和田、そして第3戦には先発として4勝1敗、QS率83%の榎田の先発が予想されます。リーグ最下位のチームOPSの阪神にとっては苦しい展開が予想されます。

 しかし、阪神には最近5試合で18打数9安打、OPS1・33の大山、4試合連続安打中で27日には待望の1号本塁打も出た中谷ら、打線に光が差してきました。またアウェーではDHとして原口を起用することができます。

 ソフトバンク、西武ともに救援投手陣に難が見受けられます。これは両チームだけでなく、パ・リーグ全体に言えることで、今年は救援陣に安定感がなく、試合終盤での失点が目立ちます。

 阪神としては、もちろん、先制点を取って有利に進めるのが理想ではありますが、相手先発投手陣に対して、ボールの見極めを徹底し、早い回で相手先発を降板させ、後半に大量得点という形での勝利を狙うというのもありでしょう。

  ◇  ◇

 ※OPS 出塁率と長打率を 足し合わせた指標。0・8を超えると主軸級、0・9を超えるとオールスター級、1を超えると球界を代表する一流打者と評価される。

 ※QS 先発投手が6回以上投げ自責点3以内に抑えると記録される。全先発登板におけるQSの割合をQS率という。なお2018年の沢村賞の選考基準の補助項目として7回以上投げ自責点3以内に抑えると記録される沢村賞式QSが追加された。

 ※FIP 「被本塁打」「与四球」「奪三振」だけで算出される、守備力によらない投手の力を示す指標。

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 ◆鳥越 規央(とりごえ・のりお)統計学者。大分県中津市出身、1969年生まれ。野球統計学(セイバーメトリクス)を駆使した著書は『本当は強い阪神タイガース』(筑摩書房)『スポーツを10倍楽しむ統計学』(化学同人)など多数。所属学会はアメリカ野球学会、日本統計学会など。JAPAN MENSA会員。江戸川大学客員教授。

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