秋山 チーム初完投で5割復帰導いた 昨年CS泥仕合の雪辱

 「阪神7-1DeNA」(1日、甲子園球場)

 本当に頼もしい右腕や!阪神・秋山拓巳投手(27)が6安打1失点で今季2勝目をチーム初完投で挙げた。完封こそ逃したが、無四球で9連戦の4戦目にリリーフ陣を休養させる大きな価値のある投球。バットでも四回に4点目の左前適時打を放った。チームは2連勝で勝率5割に復帰。このまま突っ走れ!

 三塁に進んだ秋山はウインドブレーカーを脱いだ。四回、浜風吹く甲子園。5月とはいえ、陽が落ちれば気温もグッと下がる。だが、心も体も熱く燃えていた。投げて、打って、走って、全力で闘った2時間43分。投打で連勝に導いた。約1カ月ぶりの2勝目。27歳初登板初勝利は、チーム初完投で飾った。

 「直球を修正していい形が見えてきた。自信を取り戻しながら軸として使えた」。中9日で迎えたDeNA戦のマウンドは、昨年10月15日のCSファーストS以来の対戦だった。「泥んこ試合」で今永と投げ合い、3回を5安打2失点で降板。チームも同戦と翌戦に敗れて敗退していた。

 198日ぶりの対戦は序盤に6点のリードを奪った。「六回から完投を意識」し、完封目前の九回のマウンド。1死一、三塁から筒香に左犠飛を浴びた。「二重丸ですよ」。9連戦中に中継ぎを休ませ、金本監督は最大級の評価だが右腕は「詰めが甘い。僕らしい」と苦笑いだ。それでも6安打、9奪三振。2010年以来、2度目の無四球完投勝利だ。

 「大事なところで勝ちたいというのは、すごく強くなりました。それがエースですもんね」

 雨に泣いたCS登板。それでも大一番を託された経験は生きる。1年間戦い抜く術(すべ)を求め、オフは各所に出向いて「伸びしろ」を探した。動作解析に新球種…配球の見直しがそうだ。「例えば外の直球3つで終われる配球ができれば、球数も減るし困った時に戻ることができる」。きっかけがあった。

 昨年6月13日の西武戦。2失点で勝利投手になった。この試合、パの首位打者・秋山から2つの見逃し三振を奪う。翌日、ベンチ前で「いい球だったな」と声を掛けられた。自信を深め、直球の大切さを再確認。オフを経て進化は七回に見せた。1死から筒香との対戦。2球で追い込むと、迷わず3球勝負。内角低めの144キロで見逃し三振に斬った。

 前日から完投を誓い、有言実行の1勝だ。リリーフを休ませた107球は、残る5連戦にも大きな意味を持つ。180投球回が今季の目標。8年ぶりの完封勝利もそう遠くはない。「優勝に向かって全部勝つつもりで頑張ります」。最後まで口元を引き締め、次戦に向けて前を向いた。指揮官と約束した「昨年以上」のシーズン。まだ、序章に過ぎない。

関連ニュース

編集者のオススメ記事

タイガース最新ニュース

もっとみる

    スコア速報

    主要ニュース

    ランキング(タイガース)

    話題の写真ランキング

    写真

    リアルタイムランキング

    注目トピックス