秋山のカーブ 握り変え被打率減少 開幕3戦連続QSの安定感生み出す

 独自の視点からプレーの深層に迫る「虎目線」-。開幕から3戦すべてでクオリティースタート(6回以上投げて自責点3以内)を続ける秋山拓巳投手(26)が、今年から取り入れた“パワーカーブ”にスポットを当てる。「回転数を上げたい」という思いから握りを工夫したことで、カーブの被打率は昨年比で大幅に減少。配球パターンも変化したことで、先発投手陣随一の安定感を生み出した。

 秋山のリリースポイントを見ると、独特な握り方をしているボールがある。人さし指を縫い目にかけるように折り曲げ、ボールが離れる瞬間に強いスピンをかけている。昨年までは人さし指と中指を並べて縫い目にかけていたカーブ。握り方を変えたことで軌道とスピードは変化した。

 プロ入り初めて規定投球回に到達した2017年、秋山のカーブは100キロ台で大きな曲がり方を見せていた。打者のタイミングを外すのには効果的だった一方、被打率・370と持ち球の中で最も痛打された。ボールの力がない分、タイミングを合わされるとヒットゾーンへ落とされやすい傾向にあった。

 だが今年は110キロ台中盤にスピードが上がり、曲がり方も打者の手元で鋭く曲がってくる軌道に変化した。女房役の梅野は「パワーカーブと言うか…ボールが強く曲がってくるようになった」と明かす。今年2月のキャンプ時から練習を積み、実戦で使えるレベルに引き上げた秋山。導入の意図をこう語る。

 秋山「最初はカーブで空振りを取れればいいなと思って。回転数を上げるためにどうすればいいかを自分で考えて(握りを変えた)。特に去年のデータを見たとかではないです」

 その効果は数字となって如実に表れている。被打率は3試合で・111へと大幅に減少。打たれにくいボールとなったことで、配球の構成も前年は8・1%だったカーブの割合が13%へ上昇した。

 持ち味でもある直球、他の球種が悪くても、カウント球、勝負球で使えるカーブに変化したことで安定感は増した。試合を壊さないことが重要な役割となる先発投手にとって、3戦連続のクオリティースタートは高評価に値する結果だ。

 秋山「ボールは強くなったけど、まだ自分の狙い通りに制球しきれていない。どうしても投げにいってしまうんだと思う。でもこれから割合を増やしていければ、投球の選択肢は広がると思うので」

 そう課題を口にした右腕に、香田投手コーチはさらなる“アレンジ”を求める。

 香田投手コーチ「カーブの中でもスローカーブとパワーカーブといったように使い分けができるようになるともっとよくなる」

 昨季の12勝に満足することなく、新たなチャレンジを試みた秋山。球界には2年目のジンクスという言葉があるが、あくなき探究心がある限り、26歳の右腕はまだまだ伸びる可能性を秘めている。

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