「阪神春季キャンプ」（１日、宜野座）

　プロ野球のキャンプは１日、沖縄・宮崎の両県などで始まった。阪神は沖縄県宜野座村でキャンプインし、期待の４番候補・新外国人のウィリン・ロサリオ内野手（２８）がベールを脱いだ。初の屋外フリー打撃で５８スイング中、推定１４０メートルの特大弾を含む１４本の柵越えをマーク。本人は時差ボケに悩まされている現状を吐露するなど状態はまだ７５～８０％と明かす中、他球団の００７が警戒感を強めるほどのインパクトで、大砲を待ち望む金本知憲監督（４９）も絶賛した。

　打撃ケージの裏にはおのずと首脳陣が集まった。スタンド上部には球団フロントの面々が並び、他球団のスコアラーも駆けつけた。キャンプ初日、ランチ後に始まったロサリオのショータイム－。初の屋外フリー打撃で見せたスイングは紛れもない“本物”だった。

　まったく力感のないフォームから繰り出されるヘッドスピードは明らかに群を抜いていた。ハードヒットしなくても、打球はきれいなスピンがかかって次々とスタンドへ届いていく。

　最初はカーブマシンのケージに入り、注目の打撃練習を開始。徐々にスイングに力が入っていくと、２９スイング目には左投げの打撃投手から逆風をものともせず右翼席にたたき込んだ。４３スイング目には右投げの打撃投手から快音を残した打球が、左翼後方の坂道を保護する防球ネットに突き刺さった。この推定１４０メートルの特大弾に加え、最後はレフトライナーかと思われた打球が失速することなくスタンドイン。ここ数年の助っ人にはなかった圧倒的なパワーに、巨人・森中スコアラーは「想像していた以上」とうなる。

　その上で「去年までの外国人選手はアベレージの印象が強かったけど、間違いなく長距離を打てる。見る前はゴメスかなという印象を持ってたけど、パワーもあるし、うまさもある」と分析した同スコアラー。実際にタイミングが合わなくても、コンパクトに逆方向へ打ち返すシーンもあった。打球のほとんどがライナー性ということは、しっかりとしたコンタクト能力もある揺るぎない証しだ。

　ただ当の本人は「状態は７５～８０％くらい」と明かした。先月２８日に来日したばかりとあって極度の時差ぼけに悩まされ、眠れない日々が続いているという。「しっかり練習をこなして眠れるようになれば、もっと打球も違ってくると思う」と力を込めたロサリオ。まだまだ底を見せていない事実が今後への期待感へつながる。

　「みんなと一緒の練習ができてうれしかった」。初日から通常の全体メニューを消化したのは新外国人としては異例。守備だけでなく、通常ならば外国人が行わないバント練習に参加したこともマジメさの表れだ。初日で十分すぎるインパクトを残したトロ。これからどんな進化した姿を見せてくれるのか…楽しみは尽きない。