敵地交流戦はDH糸井、センター大和で 金本阪神をセイバーメトリクスで分析

 「セイバーメトリクスで占う鳥越規央の傾向と対策」

 5月6日の広島戦。5回表終了時点で0-9。この時点での後攻チームの勝利確率をデータに基づいて理論的に計算すると0・47%。阪神はその確率で奇跡を起こし、12-9で勝利して首位に浮上。最近3カード連続で1勝2敗と負け越しが続いて2位にはなったものの、貯金8で交流戦を迎えることができました。

 ちなみに5月の阪神で気になるデータが。それは盗塁成功率で、17回盗塁を試み成功は9回で52・9%。盗塁と盗塁刺の得点価値を比較して換算すると、成功率は71%を超えないとチームにとってプラスにならないのです。積極的な走塁は歓迎なのですが、盗塁に関しては成功率を高めるプランを厳選して遂行してほしいものです。

 さて、今日から交流戦が始まります。交流戦での阪神は過去5回勝率が5割を上回っており、健闘している方でしょう。防御率に比べてFIPが優れているのは、投手力は申し分ないのに、慣れない球場での守備で足を引っ張っていることの表れと見てよいでしょう。

 昨年のこの時期、阪神の打撃陣がどん底状態で交流戦でのOPSが0・569と、現在のロッテのチームOPS0・570に匹敵するありさまでした。ロッテも最近は上昇傾向ですし、オープン戦首位の対戦相手のほとんどがセ・リーグだった(11勝2敗)ことを考えると、この交流戦が持ち直すきっかけになるかもしれません。

 そんなロッテを含め、今年の阪神は、オリックス、ソフトバンクとは敵地で対戦です。これらの球場との相性はデータからもあまり良くないようです。また今年もロッテ・石川、オリックス・金子、ソフトバンク・バンデンハーク、千賀といったエース級投手との対戦が予想されます。

 対策としては、昨年パ・リーグ4位のOPS0・849だった糸井の打棒復活に期待がかかります。そのために糸井には打撃に専念してもらい、ZOZOマリンや京セラドームの広い外野守備対策として、大和をセンターに配置、DH・糸井としたオーダーを組んでみてはいかがでしょうか。あと、初回得点確率を高めるために、高山、上本、鳥谷といった最近の出塁率が高い選手を上位に固めることも必要です。(統計学者)

 ※OPS:出塁率と長打率を足し合わせた指標。0.8を超えると主軸級、0.9を超えるとオールスター級、1を超えると球界を代表する一流打者と評価される。

 ※FIP:「被本塁打」「与四球」「奪三振」だけで算出される、守備力によらない投手の力を示す指標。

 ※WHIP:安打と四球で1投球回あたり許した走者の数値。死球や失策などは除く。

  ◇  ◇

 鳥越規央(とりごえ・のりお) 統計学者。大分県中津市出身、1969年生まれ。野球統計学(セイバーメトリクス)を駆使した著書は『本当は強い阪神タイガース』(筑摩書房)『スポーツを10倍楽しむ統計学』(化学同人)など多数。所属学会はアメリカ野球学会、日本統計学会など。JAPAN MENSA会員。江戸川大学客員教授。

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