1番・糸井、29打席ぶり安打が初回の4点呼ぶ 新オーダーズバリ!
「阪神6-1巨人」(25日、甲子園球場)
攻撃開始から1分。阪神・糸井の一振りが勝利を呼んだ。チームは連敗中。要となる鳥谷の負傷に、2位・広島と0・5差。暗雲立ち込める空気とともに、自身の流れもフルスイングで断ち切った。再スタートとなる1安打、1得点。先制ホームが決勝点だ。
「勝ってよかった。それだけです」
初回だ。この日は移籍後初、昨年10月1日・楽天戦以来となる1番で出場。巨人先発・大竹寛に対してカウント1-1からの3球目、144キロの直球を中前に運んだ。バットの芯は外したが、気持ちを込めたフルスイング。続く上本が適時二塁打を放ち、キャンベルの2ランなどで一挙4点を先制した。
17日の中日戦(甲子園)から快音が消え、連続打席無安打の自己ワースト記録も更新。8試合、29打席ぶりに生まれた待望の一打だ。「いろいろ考えてやってくれているので」。チームへの感謝は尽きない。
早出練習で1番起用を決めた金本監督は、打順変更の意図を「28打席ヒットが出てないと、打者としては何かきっかけが欲しいもの」と説明。その上で糸井安打による相乗効果を口にする。
「彼も前向きに行ってくれたので。このヒットを生かしてやらないとというので、上本ですか。どこかにそういうのがあると思う」
先制攻撃は偶然の産物ではなく、生みの苦しみを経た上の4得点だ。24日の試合前には早出特打を敢行。片岡打撃コーチらと、近くなっていたポイントの位置や、バットの軌道などを確認した。この日も打撃練習後、金本監督と2、3分の会話。指揮官は「雑談」としたが、体の軸回転など助言を送っていた。
2打席目以降は二ゴロ、四球、三振。勝利にも責任感の強いベテランに笑みはない。「よくなるように努力していきたい」と糸井。長いトンネルを抜けた先には必ず光がある。完全復活まであと一歩か。そのバットに、チームの命運が託されている。