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金本監督2年目への思い激白 黄金期到来へ若虎たちよ「夢を持て!」

 2年目の誓いを新たにする阪神・金本知憲監督(48)が、デイリースポーツのインタビューに応じた。虎の将は自身の夢を「語りたくない」と言うが、若虎たちには「夢を持て!」と激励。FAで糸井を獲得しながら、さらなる大補強に踏み切らなかった理由…その秘話を明かした。新スローガン「挑む」の下に進める「超変革」第2章。黄金期を築くため、思いの丈を熱く語った。

 ◇   ◇

 1年前、この場で言いました。僕には夢がある。今、語りたくはないけれど、どうしてもかなえたい夢があるんだ、と。就任1年目でその夢を現実のものにできていれば、新年の朝に報告したかった。今年こそは、必ず…。そんな思いで、2017年を迎えました。

 昨シーズンをひと言で振り返れば、しんどかった。隠すこともないのではっきり言います。胃に潰瘍もできたし、頭痛もずっと治らなかった。タイガースの監督が激務であることは、引き受けた時に覚悟していたけれど、体に異変が起こるとは思わなかった。主力の不振もそうだし、思うようにならないストレスは確かにあった。でも、だからといって、もう球場に行きたくないとは思わなかった。

 なぜって、若い選手が日々、うまくなろうと頑張っていたから。うれしかったし、楽しみだった。若さゆえの怖さもあった。きょうはどんなミスをしてくれるのだろう…と。あまりのボーンヘッドにあ然としたこともあった。ベンチで、ドリフみたいにずっこけそうになったこともある(笑)。でも、あいつらの成長は、生きがいというか、うれしくて仕方なかった。

 タイガースの、特に若い人に言いたいこと。それは「夢」を持てということ。よく選手に言う。2~3年だけ調子のいい選手はいくらでもいる。有名だけど、成績を見れば大したことのない選手もたくさんいる。いい成績を何年も続けられるような選手になってほしい。プロ野球といっても大勢選手がいるのだから、その中でトップを目指してほしい。関西ローカルでちやほやされて勘違いした選手を見てきた。野球を知らない人でもその名を聞けば分かるダルビッシュや大谷のような一流を目指してほしい。

 今年のスローガンは「挑む」だけれど、「超変革」が終わったわけではない。生え抜きのレギュラーを育てたい。この思いはずっと変わらない。

 ひとつ、内輪の話をしようと思う。補強について。糸井をFAで獲ったけれど、球団で調査していた選手は他にもいた。もっと獲ればいいという声も確かにあった。でも、そうはしなかった。やはり、1人でも多く生え抜きを育てたいという思いがあったから。

 例えば捕手。実績十分の捕手を獲得する話も出た。例えば投手。中継ぎで補強ポイントに合うFAの投手もいた。でも、獲らなかった。捕手もそうだし、左のリリーフもそう。原口、坂本や梅野、山本翔…彼らに託したいと、どんどん顔が浮かび上がってきた。

 この十数年、タイガースの生え抜きで鳥谷以外にレギュラーになった選手はいない。投手はいるけれど、野手は05年以降誰もいない。10年以上も出ていないなんて異常だし、非常事態。ドラフトで大山を1位指名した理由は、球団、本社内ではっきりしていた。

 大山のプレーする姿を実際に見たことはないし、情報はスカウトの話や映像のみ。それでも、北條のように実戦向きだし、将来性は十分あると思った。

 ドラフト1位で野手を指名したことでサプライズとも言われたけれど、球団内に異論はなく、坂井オーナーも大賛成してくれた。とにかく、野手の生え抜きを一人前に育てなければ、タイガースの明日はない。それくらい危機感を持っている。

 補強は必要だけど、補強依存のチームにはしたくはない。原口なんてチーム内補強みたいなもので、当初は右の代打で御の字だと思っていた。それが4番を任せたくなるほど期待を持たせてくれて、うれしい誤算だった。補強は最小限。そんな思いが選手たちにどれだけ伝わっているか分からないけれど…。

 補強すれば当然、今いる選手たちのチャンスは減る。糸井が加入したのだから、江越や横田、中谷のチャンスが減るのは仕方のないこと。仮に昨年、江越が2割7、8分でホームラン15本くらい打っていたら、上がり目があると見なされただろうし、よし、江越でいこうとなっていた。そういうものが見られなかったから、糸井を獲ることになった。外野に限らず若い選手は、また来年やればいいなんて悠長に構えていると、いつの間にかチャンスはなくなっていると思った方がいい。

 狭き門のプロ野球に入っても、これという決意を継続できる選手は一握りしかいない。プロの選手でも楽をしたい、遊びたい。そういう気持ちは絶対にある。現役時代、僕自身も甘いところはたくさんあった。貫き通したこともあるけど、ついついサボってしまった時期もあったし…。

 そういう思いが分かるから、練習にはある程度の強制が必要だと思っている。特にキャンプでは追い込むようにレールを敷いて「これだけはやれ」と背中を押してあげないといけない。やれ!やれ!と言っているだけでは、なかなかやらないもの。皆、やらないといけないとは思っているけど、いざ1人でとことん追い込めるかというと、なかなか…。

 実は、そう言う僕自身、やらされる練習に対してあまり前向きになれなかった。広島のキャンプはすごくキツかったので、どうすれば楽をできるか、そんなことばかり考えていた。今の選手だってそういう思いはあるだろう。だから思う。昨秋のキャンプは本当に皆よくやった。これはお世辞でも何でもない。

 繰り返しになるけれど、若い人には夢を持ってほしい。僕は小学生のころ、特に夢はなかった。途中で練習がイヤで野球を辞めて釣りに熱中したし、プロレスブームにハマってタイガーマスクみたいになりたいと思ったこともあったし…。夢はコロコロ変わった。

 初めてプロ野球選手になりたいと思ったのは中学生のころ。実は広島県立工業の(当時の)小川監督から「ウチに来ないか」と誘われていた。小川さんから「この子は将来的にプロになる可能性があるかもしれない」と言われて。「自分にはそんなものがあるのか」と信じ込んで、それなら頑張ろうと思った。

 そこから目標は一本になったけど、挫折の連続だった。高校でも3年になるまでレギュラーになれなかったし、僕よりうまい人間はたくさんいた。もう無理だと思ったことは何回もある。高校のときも大学になってからも、何度も諦めかけた。

 プロ野球に入ってからもレギュラーなんて無理だと思った。でもいつ頃からか、信念に「継続」というものができた。何をやるにも飽きたり、違うことをやりたくなったりもするけれど、本当に必要ないと断言できる自信があるなら、辞めてもいいと思う。とにかく、決意したなら続けること。自分にそう言い聞かせてやってきた。

 自分の実績には全く満足していない。もっとできたと思うし、反省はたくさんある。ただ、自慢できるものもある。貫き通したのは食事を含めた体作りとトレーニング、それから、若いころに自宅でやった打撃練習…この三つはよくやったと思うし、妥協はしなかった。若いころの自分と今の選手を比較しようにも、彼らの日常生活をすべて見ていないので、見えないところは分からない。生存競争を勝ち抜くには、決意したことを何が何でも継続すること。それは選手たちに言いたい。

 何か話をすると、選手は皆、反応は良い。俺の前では、良い(笑)。高山なんて、面白い男。努力する資質が十分だから新人王も獲ったけど、あいつは手を抜く天才でもある。やっているフリして、こそっと抜く。それも必要だから見て見ぬふりをしているけど(笑)。たまにおちょくって『はい、出た~』って言ってやる(笑)。

 鳥谷のことをよく聞かれる。自分もそうだったように年齢とともに衰えはくる。彼自身、もう一度ショートで勝負したいと言っているから、そこは競争になってくる。北條は成長している。秋季キャンプでのバッティングの変わりようにはびっくりした。すべてにおいて、彼の変身ぶりには驚かされる。まだそこまで体が変わってきていないけれど、あと体重が3キロ増えれば、スピードもついて、振りももっと違ってくると思う。ゲーム勘があるのも北條の魅力だ。

 ショートは鳥谷と北條と一対一の競争だと思われているけれど、それも分からない。植田海という選手を覚えていてほしい。この選手、守備センスはあるし足も速い。北條は鳥谷からポジションを完全に奪いたいと思っているだろうけれど、植田海はその北條を抜くくらいの素材だ。それに…聞くところによると植田はワルでやんちゃ。そういう意味でも面白いし、楽しみ。

 チームの目標ははっきりしている。戦力も整いつつある。昨年がそうであったように、今年また、どんな選手が出てくるか分からない。だから、あらかじめどういうチームにしたいと考えないようにしている。あらかじめ考えると、選ばれる選手が決まってくるから。不安よりも、楽しみの方が大きい。新たなチャレンジの1年になる。(阪神タイガース監督)

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