【超変革を検証】状況に応じた打撃できなかった江越 若手起用も定着できず

 入れ替えが激しかった今季の阪神。若手の積極起用が目立った。特に野手に関しては、多くの若手が1軍でチャンスを与えられた。だが、ほとんどが定着するような結果を残せず、1軍と2軍を行き来した。

 中でも計算外だったのは2年目の江越だ。打球を飛ばす力はチームでもトップクラス。足は速いし、肩も強く、身体能力は高い。金本監督も話していたが、理想は「3番・中堅」で固定すること。だが、今季の成績は、その構想には遠く及ばないものだった。

 開幕を1軍で迎え、当初は代打や守備固めでチャンスをつかんでいった。4月3日・DeNA戦から同9日・広島戦まで出場4試合連続本塁打をマーク。その後もコンスタントに安打を積み重ね、レギュラーをつかみかけた。だが、活躍は長く続かなかった。

 4月29日から20打席連続無安打で、5月8日に出場選手登録を抹消された。6月28日に再昇格したが、8月31日に再び抹消。それ以降、1軍に呼ばれることはなかった。

 他球団からのマークも厳しくなり、執ような内角攻めに遭う。内角を攻められた後、外角へ逃げる変化球が大きくコースを外れても空振りしていた。72試合で78三振。江越は「怖いとかではないけど、インコースを攻められて、勝手に体が開く。外が遠く見えるし、頭では分かっていても、手が出てしまっていた」と振り返る。

 内角攻めは乗り越えなければならない壁だ。外のボールを見極めにくくなると同時に、本来の形も崩された。そしてスランプに陥り、結果を求めて悩み、焦る。悪循環が続いていたように見える。

 一方で、今岡2軍打撃コーチは、違う視点で分析する。「2軍に落ちてきた時も、練習ではバッティングの状態も悪くなかった。誰でも三振はする。彼が3番を任された時に何を考えていたかが重要。ただ打席に立つのとは違う。打つためにはもちろん技術もいるけど、そういうところを考えないと。今はカウントごとに『待て』だとか、サインを出している。最近は分かってきていると思う」

 ビハインドの展開でランナーがいない場面なら、江越は一発も求められる打者。だが、打線はつながり。大事な局面でどんな形でもいいから出塁したり、クリーンアップでも走者を進めて4番に託す打撃も必要。安打以外にもチームに貢献する方法はあるのに、それができていなかった。

 状況に応じたバッティングができるかは、好打者の条件の一つでもある。考えすぎるのもよくないが、今季、悩み抜いた経験が糧となるはず。来季3年目のシーズンで飛躍に期待したい。

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