【超変革を検証】高山は課題を一つ一つクリア 2年目の飛躍に大きな期待

 今季最終戦となった10月1日・巨人戦(甲子園)の後、阪神・高山は1年目の成績を振り返って、こう話した。「満足はしていない。全然納得していない」。さらに「悔しい」とまで言った。

 出場134試合で打率・275、8本塁打、65打点、5盗塁。136安打は坪井智哉の球団新人記録を18年ぶりに更新し、猛打賞13度は長嶋茂雄のプロ野球新人記録にあと1まで迫った。新人王の最有力候補だが、本人は不満をにじませた。

 私も同じ見方をしている。3割に届かなかった打率、2桁に達しなかった本塁打数、盗塁数。この1年、高山を見続けてきた記者としても、今季の数字には物足りなさを感じる。もっともっと大きな可能性を秘めた打者だと感じるからだ。

 それを確信した瞬間として、強烈に印象に残る一打がある。8月24日・DeNA戦(横浜)の三回。久保康が投じた懐をえぐるような142キロ直球をはじき返し、右翼フェンス直撃の二塁打にした。肘を畳み、体の軸回転で引っ張り込んだ。片岡打撃コーチは「いくら練習しても、試合では崩されるもの。高山は試合であれをさばくことができて、大きな自信になったのでは」と一つの分岐点と見る。

 4月下旬に打率3割を切り、6月は月間打率・217と落ち込み、先発から外れる機会が増えた。厳しい内角攻めに苦しみ、ボールになる低めの変化球にも手を出して空振りするシーンが目立った。

 高山ならではの悩みも抱えていた。大学のリーグ戦は週末開催で平日は納得できるまで練習に充てることができた。プロは週6日の試合に出場しながらの調整が必要。特にビジターでは練習時間が極端に限られる。休日返上でバットを振り込むのは常だった。

 フォームの微調整など工夫を重ねながら徐々に克服。夏場を迎えても体重、体脂肪率の増減が少なく、一定の数値を維持。体調管理にも注意を払うことで7月は月間打率・366と一気に上昇した。

 片岡コーチは「読みや駆け引きというものも覚えてきた。インコースを見逃せるようになり、ある程度さばけるようになって、低めの変化球をだいぶ我慢できるようになった」と進化の過程を解き明かす。同時にさまざまな球場や移動を含めたプロの生活リズムに慣れてきて、適応できるようになったことも成長の一つの要因だ。

 9月には自身月間最多の3本塁打を放ち、長距離砲としての可能性も示してシーズンを終えた。新人ながら一つ一つ着実に課題をクリアしていった高山。“2年目のジンクス”はないと期待したい。

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