メッセが示す“先輩”のあるべき姿

 今年も日本球界に多くの外国人選手がやってきた。最初から主軸を保証されている選手。向こうでの実績はそれほどでもなく、日本での成功を夢見て海を渡った選手…。一人一人の選手にそれぞれの事情がある。

 しかし、多くの新外国人選手がいるということは、同時に去年それだけの数の選手が日本を去ったということ。全員が新天地での成功を夢見ているであろうが、それがかなうのは半分にも満たないのかもしれない。

 新しくやってきた外国人選手が日本で成功するためには何が必要か。個人の能力はもちろんであるが、それと同程度に大切なのが環境の違いへの適応だと思う。それぞれの国に文化があるように、日本と他国の野球の性質も異なる。そこにどれだけ順応できるかが一つのポイントになる。

 今年の阪神キャンプを見ていて、感動すら覚える出来事があった。今季、チームにはマテオ、ドリスという2人の守護神候補が加入したのだが、キャンプ序盤の投内連係の練習中、今季が7年目のメッセンジャーが練習の詳細を2人にレクチャーしていたのだ。

 マテオ、ドリスはともにドミニカ共和国出身で、母語はスペイン語。2人とも米国でのプレー経験はあるが、マテオはあまり英語は得意ではない。それでも、メッセンジャーは言葉の壁を気にすることなく、親切に接した。グラウンドを離れても、オフの日は買い物や食事に連れ出すなど、2人がチームに溶け込むのを手助けしていた。

 「自分が1年目にそういう人がいなくて苦労した。知らない国に来てやっているわけだから、彼らを助けられるようにできるだけのことをしようと思う」

 そう話すメッセンジャーは10年に来日。11年の先発転向後は5年間で合計56勝を挙げたが、1年目の開幕当初は中継ぎだったこともあり、26試合で5勝6敗、防御率4・93と思うような成績は残せなかった。自分が苦労した過去があるだけに、慣れない環境に飛び込んだばかりの後輩たちの動向が気になるのだろう。

 前にも述べたが、メッセンジャーは今季が7年目。阪神の助っ人ではバッキー、ウィリアムスと並んで史上最長で、日本で大成功した外国人選手の一人だ。今季もここまで順調な仕上がりを見せ、金本監督にはすでに開幕投手に指名されている。

 大切なのは、野球をする上での能力だけではない。メッセンジャーの存在自体が、外国人が成功するための教科書になっている。(デイリースポーツ・五島大裕)

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