球児火の玉再び「安心してください!」

阪神・藤川球児投手(35)が29日、合同自主トレ先の沖縄・宜野座村野球場で、今年初めて本格ブルペン入り。捕手を座らせ、直球主体で30球を投げた。投球前、片山ブルペン捕手に状態を聞かれた際には「安心してください!(肩は)できてますよ」と力強く返答。その言葉通り、順調な仕上がりを見せた。

 室内練習場での準備体操を終え、ブルペンに移動した午前11時過ぎ。投球に備え、藤川が足場をならしていると、片山ブルペン捕手から「状態はどうだ?」と尋ねられた。間髪入れずに、口から飛び出たのは、昨年ブレークしたお笑いタレント・とにかく明るい安村のような“決めぜりふ”だった。

 「安心してください!(肩は)できてますよ」

 冗談めかした言葉だったが、それは本当だった。直球を中心に、カーブとチェンジアップを織り交ぜ30球。低めにズバッと決めたボールは、「JFK」の一角として優勝に貢献した05年の“火の玉ストレート”をほうふつとさせるものだった。ブルペンに注がれた視線を独り占めにした。

 鶴や筒井らと行った18日の自主トレ公開時は、グラウンド内ブルペンでプレートから1メートル捕手寄りに近づいて投げていた。この日は18・44メートル離れての本格ブルペン入り。年明け初めて、プレートから投げた。「何もないです」と多くは語らないが、先発に向けた調整は順調に進んでいる。

 今後、球数を増やしていくかと問われると「勝負事なんで言う必要はない」と藤川。既に敵を見据えた臨戦態勢に入っている。「地道に、しっかりと結果を出していきたいです」と力を込めた。

 4年ぶりに藤川の投球を受けた片山ブルペン捕手も、称賛を惜しまなかった。

 「全然変わっているイメージはない。いい球を投げている。いい投手しか投げられない低めのボールを投げていた。回転はすばらしい。手元で伸びてくるっていうね」

 日本で頂点を極めた後、米大リーグ、四国ILpを経て古巣に復帰した右腕。懐かしい手の感触に、片山ブルペン捕手は笑みを浮かべていた。

 球児の今の使命は焦らず、着々と牙を研ぐこと。全ては虎党を心の底から、“安心”させるため-。火の玉の精度を高める球児の戦いがスタートした。

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