西岡、先頭弾 1000試合出場に花添えた

 「ヤクルト1-4阪神」(14日、神宮)

 プレーボールから2分後だった。初回。先頭の阪神・西岡が成瀬の立ち上がりをドンピシャのタイミングで狙い打った。2ボール1ストライクから浮いた直球をフルスイング。大飛球を真っ黄色の左翼席へ押し込み、自身のメモリアルに花を添えた。

 「直球を狙っていました。打ち方がいつもと違うことは見てもらったら、分かると思います。風もいい方向に吹いていたし、真ん中より内寄りをね。先に点を取って、勝てるぞという雰囲気をつくりたかった」

 13年の交流戦でソフトバンク・摂津から放って以来、自身19本目となる初回先頭打者アーチ。派手な贈り物を登板前の藤浪に届けた。前カード広島戦で3タテを喫し、最下位で迎えた神宮の正念場。この夜、通算1000試合出場を迎えた千両役者が本領を見せつけた。

 「記録は試合途中に広報から聞いて、ああそうなんや…と。節目まで元気でやってこられたことは良かった。2000試合出ている人もいる。まだまだ、できるだけ多く出られるように努力したい」

 今季2本の本塁打はいずれもロッテ時代からかわいがる1歳下の成瀬から。前回は3月31日のヤクルト戦(神宮)で初回に3ランを左翼席中段へたたき込んだ。同試合はリードを守れず逆転負け。FA左腕に移籍初勝利を献上し、「勝たんと意味がない」と吐き捨てた。成瀬の軌道を読み切ったこの夜の弾道は、44日前のVTRを見ているようだった。

 「速い球がないから変化球を待っていても真っすぐに対応できる。打ったのはスローボールでしょ?真顔でそう言っていたと書いておいてください」

 帰り道、ニヤリと成瀬を挑発した。ちゃめっ気たっぷりの西岡が頼もしく映えた。

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