【頑張れ高見盛10】6連敗…体叩かれ集中できず

 「大相撲初場所10日目」(22日、両国国技館)

 泣きっ面に蜂だ。引退危機の東十両12枚目高見盛(36)=東関=が、とんだアクシデントに見舞われた。心ない観客に取組直前に体をたたかれ、握手を求められた。男はすぐに関係者の手で引き離されたが、集中できないまま臨んだ取組では千代鳳(20)=九重=に押し出されて6連敗。3勝7敗となり、引退を回避する十両残留に必要な7勝が厳しくなってきた。

 怒り心頭だった。取組前。高見盛は関係者につまみ出される心ない観客を、振り返ってにらみつけた。「いきなり何だ、と思った。気になりますよね。集中しているのに」と顔を真っ赤にした。

 正面升席から駆け下りた、30台半ばとみられる男性が「頑張れよ。握手して」と、西の土俵下に控える高見盛の左肩をたたいた。即座に離された男は「すいません」と素直に謝り、升席に戻って観戦を続けた。

 男はそれで済んだが、収まらないのは高見盛だ。隣に座る審判の大鳴戸親方(元大関出島)は「いきなり来られると、どうしようもない。高見盛はかわいそう。『ああクソ、さわられた』と言っていた」と同情した。

 肝心の取組は立ち合い五分、右を差して好機はつくったが、引いたのが災いした。呼び込んで押し出された。幕下陥落なら引退を公言しているが「少しは攻められた。気力はありますよ。15番全部を取って、結果を受け止めたい」と話した。

 朝稽古後、部屋に姿を現した先代東関親方(元関脇高見山)は「よく頑張ったよ。早くヨメさんを見つけて」と高見盛をいたわった。部屋関係者は「痛めた右肩を万全にして相撲を取りたいはず。幕下に落ちても続けたいのでは」と話した。誰もが、引退してほしくない気持ちでいっぱいだ。

 高見盛は「明日なんか来るなと思いますよ。つらいから」と心境を吐露。それでも「自分の力だけで戦うのが力士。やらなきゃいけない」と、己を奮い立たせた。

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