核戦争備え「知らずに働いた」 米原爆調査委の日本人女性、長崎
米国が太平洋戦争後、原爆の人体への影響を調べるため設立した原爆傷害調査委員会(ABCC)のうち、長崎の拠点に勤めた女性(99)が7日までに取材に応じ、調査の軍事利用について「職員は何も知らず、未来のためになると信じ懸命に働いていた」と胸の内を初めて語った。識者は、調査が将来の核戦争に備えるための研究に利用されたとして「被爆地の職員が意図せず加担させられたとみられ、非人道的だ」と指摘する。
元職員は松田百合子さん=長崎県長与町。戦中は出生地の台湾で、日本赤十字社系列の病院で看護師として勤務した。終戦翌年に引き揚げ、1950年に長崎のABCC職員に採用された。
仕事では奇形の調査のため、被爆者が生んだ新生児の指や腕の長さ、目の位置を測った。治療を原則行わないため、反発する被爆者もいた。周囲に勤務先を明かすと「何のためにこんな検査をするのか」と言われることもあった。
検査に役立てようと解剖所を訪れた際、被爆して亡くなった親戚の遺体を見つけた。「体に触れた時、本当にショックだった」と言う。
