鹿児島・日置5人殺害、再び死刑 高裁宮崎支部、弁護側の控訴棄却
鹿児島県日置市で2018年、親族ら5人を殺害したとして殺人罪などに問われた無職岩倉知広被告(45)の控訴審判決で、福岡高裁宮崎支部は13日、死刑とした20年12月の一審鹿児島地裁裁判員裁判判決を支持し、弁護側の控訴を棄却した。完全責任能力の認定に合理的疑いは生じないとし「落ち度のない5人の命を奪った。死刑はやむを得ない」と結論付けた。
弁護人は最高裁に即日上告したと明らかにした。
控訴審では、一、二審でそれぞれ精神鑑定をした医師2人を証人尋問。平島正道裁判長は判決理由で、二審の医師は重度の統合失調症と診断する一方、妄想に支配され行動が強制されている状態だったとまでは述べていないと指摘した。
包丁を持ち出してきた父親の殺害は正当防衛とした弁護側主張に「父親の行為は祖母を防衛するための行為で、被告が危険を回避することは容易だった」と判断。弁護側が争った父親と祖母への殺意も認めた。
「精神障害が犯行の背景にあったとしても影響は軽微」とし、一審に続き死刑を選択した。