大洋デパート火災、教訓を未来へ 熊本の遺族女性、防災士に
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1973年11月に104人が死亡した熊本市の大洋デパート火災で、当時2歳だった原田真羊さん(53)=同市=は現場に居合わせ、父美芳さんを亡くした。父のことも火災のことも覚えていないが、当事者として「教訓を未来に生かしたい」との思いから今年10月、防災士の試験を受け合格。防火や避難訓練の重要性を訴えている。
73年11月29日、原田さんは父母と買い物でデパートを訪れていた。母が原田さんを両手で抱き上げようと、美芳さんの手を離した瞬間、美芳さんの姿が見えなくなった。
火災から1、2年後、母娘は静岡県三島市に移住した。約20年前に熊本に戻ると、当時の状況を知る人に多く出会った。記憶の空白を埋めるように調べるうちに「生き残った自分が伝えていかないといけない」と考えるように。昨年11月29日に熊本市内の商業施設で行われた消防訓練の場で、大西一史市長に手紙を渡し、11月29日を市の消防避難訓練の日とするよう求め、その後制定された。惨事が二度と繰り返されないよう、防災士として、取り組みを続けていく。