神戸・長田の巨大開発は「失敗」 にぎわい戻らず閑散アーケード
1995年、阪神大震災で大火に見舞われた神戸市長田区。木造の建物が軒を連ねていた下町は、市が約30年に渡る再開発事業で約2277億円を費やし、ビルが立ち並ぶ街並みに変貌した。便利で住みやすいとの声がある一方、以前のにぎわいは戻らず「失敗」と断じる商店主も多い。ビルに店を移した男性は「身の丈にあった計画にするべきだった」と嘆く。
「高い経費を支払ってまで、ここで商売したい人はいない」。9割以上が焼失し、大型ビルと一体となった形で再生した大正筋商店街。震災前から飲食店「七福」を営む横川昌和さん(62)が閑散としたアーケード通りを見つめ、つぶやいた。
うどんやすしを提供する店は震災で全焼。仮設店舗で営業していた時期は「今は大変でもビルができたらもっと忙しくなる」と再開発に期待していた。だが新たな店が入るビルはなかなか完成せず、入居できたのは被災から約10年後。期待はやがてしぼんだ。
長期間の工事にしびれを切らした地権者も多く、ビル完成後に商店街へ戻ったのは4割程度だ。