オフィスに置かれたウォーターサーバー 空の2Lボトル持参し毎日給水する男性社員→総務担当者の注意にまさかの逆ギレ!【弁護士が解説】

都内のオフィスに勤務する会社員Aさんは、近ごろ同じ部署にいる50代の同僚男性の行動に強いストレスを感じています。その同僚は、毎日空の2リットルペットボトルを3本も持参し、就業時間中に会社のウォーターサーバーから水を補給しては、リュックに詰めて自宅へ持ち帰っているのです。

給湯室を長時間占有される上に、水の消費ペースが異常に早くなったため、見かねた総務担当者が「社内での飲用目的なので持ち帰りは控えてください」と注意しました。しかし同僚は「福利厚生として会社が用意している水だろ!」と逆上します。

この同僚の身勝手な行為は、法的に問題ないのでしょうか。まこと法律事務所の北村真一さんに聞きました。

■「窃盗罪」に該当する可能性あり

ー会社の水を無断で持ち帰る行為は窃盗罪になりますか?

ウォーターサーバーの水であっても、会社の意思に反して無断で大量に持ち帰る行為は、刑法の「窃盗罪」に該当する可能性があります。

ウォーターサーバーの水は会社が所有しているものであり、基本的には従業員が社内で飲むために提供されているものです。これを自宅での生活用水などにする目的で、日常的に大量に採取して持ち帰ることは、会社の占有を不法に移転させる行為とみなされる余地があります。

過去には、職場のトイレットペーパーや備品を勝手に自宅へ持ち帰った従業員が、窃盗罪で処分された事例も存在します。「水くらいなら大丈夫だろう」という軽い気持ちであっても、法律上は立派な犯罪行為になり得るのです。

ー「福利厚生だから自由」という同僚の言い分は法的に通りますか?

法的には全く通用しません。福利厚生として会社から提供されているサービスや備品には、常識的な範囲における「利用目的」が定められています。

一般的に、オフィスのウォーターサーバーは「勤務時間中の水分補給」のために設置されているものであり、自宅に持ち帰って私的に利用することまで許可しているケースはまずみられません。

目的外の利用である以上、同僚の「タダの水だから自由だ」という主張は法的な根拠がなく、単なる身勝手な言い訳にすぎないのです。

ー度重なる水の持ち帰りを理由に、会社がその同僚をクビにすることは可能ですか?

1回や2回の持ち帰りですぐに懲戒解雇にすることは、労働者を保護する日本の法律ではハードルが高いでしょう。しかし、度重なる注意や指導を無視して持ち帰りを続けた場合は、解雇や懲戒処分の対象になり得ます。

このケースでは、総務担当者から「持ち帰りを控えるように」と明確な注意を受けているにもかかわらず、逆ギレして従っていません。これは会社の正当な指示に背く「業務命令違反」や「職場の規律を乱す行為」に該当します。

会社が注意を重ね、けん責や減給などの段階的な懲戒処分を行ってもなお改善がみられない場合は、最終的に解雇が認められる可能性は十分にあります。

◆北村真一(きたむら・しんいち) 弁護士

「きたべん」の愛称で大阪府茨木市で知らない人がいないという声もあがる大人気ローカル弁護士。猫探しからM&Aまで幅広く取り扱う。

(まいどなニュース特約・長澤 芳子)

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