じつは「事故物件」にはっきりした定義はない!? 「心の引っ掛かり」を取り除いて適切に処分すれば売れる

不動産でしばしば「事故物件」という言葉を耳にする。一般的にイメージされやすいのは、独り暮らしの高齢者が誰にも看取られずに亡くなって、死後かなり経ってから発見されたアパートの部屋。気味悪がられて、家賃を下げても借り手がつかない。

だが、そもそも「事故物件」に明確な定義はないのだという。神戸で事故物件の買い取り、供養、リノベーション、販売までをワンストップで請け負う「ふっかつ不動産」を運営する株式会社EIZINの代表取締役・仁木英寛氏に聞いた。

■「事故物件」は個人の「心」の持ち方しだい

多くの人が「人が亡くなった家または部屋=事故物件」と認識しているのではないだろうか。

「不動産取引の現場では『心理的瑕疵(かし)』という言葉を使います。雨漏りや建物の傾きといった物理的な欠陥ではなく、住む人が主観的に『気持ち悪い』とか『イヤだな』と感じる精神的な欠陥のことです」

仁木氏は、この心理的瑕疵を独自の視点で「心の引っ掛かり」と定義する。

何が心の引っかかりになるかは、人によって異なる。例えば、前に住んでいた人がこの部屋で自殺したと聞いても平気で住める人がいる一方で、死傷者が出ていなくても何らかの犯罪が発生した過去があるだけでもイヤという人もいる。

「考えてみてください。私たちは、長い歴史をたどると何十年、何百年と人が亡くなり続けている場所で暮らしています。それ自体は自然なことです。最近の出来事や特定の亡くなり方に対して、どこまで自分の心が引っ掛かるのか、事実と先入観を分けて考えることが、正しく理解する上で大事だと思うのです」

■適切なアプローチを行えば買い手は現れる

「事故物件」の定義が、実は曖昧であることは分かった。どうしても気になるなら、その物件を借りたり買ったりしなければ避けることはできる。一方、「自分は気にしないから」と事故歴のある物件を買ったものの、いざ手放すとなったとき、所有者は「買い手は現れるのか」という問題に向き合わざるを得なくなる。

仁木氏のもとには、そういった物件を抱えて「どこに相談していいか分からない」といった人からの相談が寄せられる。

「その物件を今後どうしたらいいかを考えあぐねて、立往生してしまうのです。敏感な方ほど情報や先入観に振り回されがちですが、正しい知識が求められるのはそこではありません。私どもは専門家として、主観に偏った見解を整理し、正しい基礎知識を整えて発信していきたいという思いで相談者と向き合っています」

たとえ「人が亡くなった物件」であっても、清掃、供養、リフォームなど適切なアプローチを行えば住む人は現れるという。イメージだけに捉われ、物件の可能性を閉ざしてしまうのは当事者にとっても社会にとっても大きな損失だ。

「どうしていいか分からないから」といって、物件の処理をしないまま放置してしまうと、現実的なリスクが所有者にのしかかる。管理を怠った物件はただの空き家となり、劣化していく。それでも、固定資産税は容赦なくのしかかる。また、近隣への影響も無視できない。

こうした問題に対し、リフォームをするのか、あるいは手放すのかといった選択肢を専門的に整理する必要に迫られる。

「この領域は非常にニッチなため、影の部分が多いのも事実です。つまり、正しい知識がないために悪徳業者から騙されたり、トラブルに巻き込まれたりするケースが多いのです。だからこそ、こうした情報をオープンにして、多くの人に知ってほしい」

まずは「事故物件」という言葉からイメージされる過剰な先入観を解いて、目の前の課題に向き合うことが、物件を適切に処分するうえでも重要だ。

ふっかつ不動産

https://fukkatsu-fudosan.com/

(まいどなニュース特約・平藤 清刀)

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