野良の子猫を保護した翌日、母猫シロは姿を消した 託された日から続く幸せの12年間 「私たち夫婦にバトンをつないでくれてありがとう」

まるで、母猫から託されたみたいだった--。愛猫くるくんとの出会いを、そう振り返るのは飼い主のみわぶさん(@kuke0707)。

「くるを愛情深く育み、私たち夫婦を信頼してバトンをつないでくれてありがとう。惜しみなく愛を注いで生涯、見守っていくので安心してくださいね、と母猫のシロに伝えたいです」

■母猫シロが連れてきた子猫との運命的な出会い

2013年秋ごろ、庭へ来るようになった野良の白猫が気になった飼い主さん。人を怖がる様子がなかったため、「シロ」と名付け、お世話をし始めました。

「保護したかったのですが、当時は夫が猫嫌いで許してくれませんでした」

2014年6月30日の早朝、シロちゃんはベランダに4匹の子猫を連れてきました。親子はその後も頻繁に庭へ。子猫は木登りをしたり、飼い主さんが振り回すおもちゃで遊んだりと、自由気ままに過ごすようになりました。

「母猫のシロは家の中で寝て、体を休めることもありました」

やがて、子猫たちは徐々に姿を見せなくなり、くるくんだけがシロちゃんとともに庭へ来るようになったそう。くるくんの保護に踏み切ったのは、成長して母猫シロちゃんから威嚇されるようになったからです。

自ら家に入ってきてくれたタイミングで保護したい。その願いがかなったのは、出会いから3カ月ほど経った2014年10月8日のことでした。

「そのころには、猫嫌いの夫はシロたちに骨抜きにされていました。くるの名前を決めたのは、夫です」

飼い主さんは後日、シロちゃんの保護も検討していました。しかし、不思議なことにくるくんが保護された日を境に、シロちゃんは姿を現さなくなったそうです。

「近所のよく見かけた場所を中心に探し回りましたが、再会はかないませんでした」

■夫婦を笑顔にしたマイペースな愛猫との暮らし

お迎え当初、くるくんはケージの中で大興奮。ハンモックに排泄するほど、環境の変化に戸惑っていたそうです。しかし、日が経つにつれて徐々に落ち着きを取り戻し、家猫生活に慣れていったそうです。

「人間の食べ物に対する警戒心がなく、食卓に出していた味付きのスモークサーモンを口にしてしまい、夜間救急にかかったことがあります。その経験からか、食卓の食べ物には一切手を出さなくなりました」

くるくんを迎えてから、飼い主さん夫妻はけんかやもめごとが減ったそう。一緒に暮らす中では、マイペースに甘える姿にキュンとすることも多々あります。

「おやつの時間に呼ぶと、『連れてって~』のアイコンタクトをしてきます。抱っこして運んでもらうのを待っているんです(笑)」

くるくんは、毛布の上で眠る前にはふみふみをするそう。その姿を見るたび、飼い主さんは「シロちゃんとの記憶があるのかな」と、在りし日に思いをはせます。

■12歳になった今も続く、穏やかで幸せな毎日

現在、くるくんは12歳。慢性外耳炎や耳周辺の皮膚疾患があるため、毎月かかりつけ医と相談しながらケアを行っています。

「薬をあげるのは大変。大好きなおやつに混ぜても気づかれてしまうので、頭を悩ませています」

シニア期になり、遊びにあまり乗ってこなくなりましたが、飼い主さんはおもちゃの振り方を工夫し、運動不足にならないように配慮しています。

また、同居猫ポッキーちゃんも、くるくんにとってはいい刺激になっているようです。ポッキーちゃんは、2019年11月11日に保護した子。くるくんと同じく、早朝のベランダに現れました。

「当時、推定生後4カ月でした。くるとは違って最初から、家に入れてアピールがすごかったです」

ポッキーちゃんを迎えるにあたって家族で決めたのは、くるくんファーストで過ごすこと。初対面時にはくるくんの威嚇が見られたものの、その後、2匹は折り合いをつけ、ほどよい距離感を学習。

今は朝に挨拶の鼻チューをし、それぞれ好きな場所で過ごす日々を送っています。

「通院時にポッキーをキャリーケースに入れると、くるは守るような姿勢で立ちはだかります。優しい兄の顔を見せてくれるんです。ポッキーのほうは、くるの通院時にはどこかへ隠れてしまうのですが…(笑) 」

年齢的に、人生をともに過ごす最後の猫となる2匹と、これからも穏やかな日々を紡いでいきたい。そう話す飼い主さんの猫愛をシロちゃんは見抜き、我が子を託してくれたのかもしれません。

(愛玩動物飼養管理士・古川 諭香)

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