「桜を見ているんです」 濡れそぼる男性が立つ民家の庭には木などなかった 郵便配達員が見たのは幻覚だったのか【漫画】

雨に打たれた桜が一気に散っていく光景に、どこか寂しさを感じる人は多いのではないでしょうか。そんな桜にまつわる不思議な体験を描いた漫画『桜』(作:送達ねこさん)がpixivに投稿されました。

それは「僕は霊を信じない。でも桜の時期になると、ひとつだけ思い出す不明がある」という郵便配達員の主人公・山本のモノローグから始まります。

数年前のある夕方、山本は郵便配達のため、とある家を訪れました。すると庭先に、その家の主人が立っていたのです。山本が郵便物を手渡そうと声をかけても、男性は背を向けたまま振り返りません。

不思議に思った山本が何を見ているのかと尋ねると、男性は静かに「桜を見ているんです」と答えました。さらに、その手からはなぜか水滴がぽたりぽたりと滴っていたのです。

ただ、時期はすでに桜が散ったあと。近所の桜もすべて散っており、そもそもその家には桜の木などなかったはずでした。違和感を覚えた山本は、男性の視線の先を見ようと背後に回り込んでみます。するとそこには、一面に満開の桜があったのです。薄桃色に染まる幻想的な光景に、山本は背筋が凍るような悪寒に襲われ、逃げるようにその場を後にしました。

実はその日、山本は久しぶりの出勤でした。身内の不幸でしばらく仕事を休んでいたため、神経質になって変な幻を見たのだと自分に言い聞かせます。気持ちを落ち着かせようと郵便局のデスクで書類を整理していると、ふと1枚の尋ね人のチラシが目に留まります。そこには、先ほど出会った男性の顔写真が載っていました。

写真を見る山本に同僚は「ああそれ…処分していいよもう」と言うので、山本が「行方不明だったんですか。じゃあよかった。帰ったんだご主人」と答えます。すると、同僚は「いや、その人自殺して見つかったんだよ。××の山で」と返答しました。

同僚によると、男性は仕事帰りに自転車ごと姿を消し、数日後に山中で遺体となって発見されたそうです。その山は、春になると一面に桜が咲き誇る場所でした。

話を聞いた山本は、「じゃあ、さっきの光景…いや、そんなことありえない」と動揺します。しかし必死に自分を納得させようと、おそらく配達前に今の話を誰かがしていたのを聞いていて、男性が最後に見たであろう桜の景色を頭の中で想像してしまったのだと考えるのでした。

そんな山本が着ていたブルゾンは、なぜか濡れており、びっしりと桜の花びらが貼りついていたのです。

読者からは「お土産持たせてくれたんだと思おうぜ(震え声)」や「連れて行かれるところだった……?」など、多くの声があがっています。そんな同作について、作者の送達ねこさんに話を聞きました。

■モノクロの漫画ですが、桜が現れるシーンは色を付けました

ー同作を描いたきっかけを教えてください。

「亡くなったはずの人が庭にいた」体験をある配達員さんからうかがい、怖さと同時に感じた余韻を漫画にしたいと思いました。

ー同作に寄せられた声のなかで、特に印象に残っているものを教えてください。

「桜に呼ばれたみたいで怖い」というお声が印象に残っています。そういえば桜そのものが何か意思を持っているような扱いをされることがあって、たしかに怖いような魅惑的なお花ですよね。

ー同作制作にあたり、特に意識された点を教えてください。

モノクロの漫画ですが、桜が現れるシーンは色を付けました。ありえないはずの桜を印象的にしたいと思いました。

(海川 まこと/漫画収集家)

ライフ最新ニュース

もっとみる

    主要ニュース

    ランキング

    話題の写真ランキング

    リアルタイムランキング

    注目トピックス