夜な夜な部屋に現れる白い影の女 こちらを凝視する目は血走っていた 青年を地元に縛りつけたい偏愛が生霊に【漫画】
特定の人にあまりにも強い感情を持ち続けている場合、ときには感情が生霊として現れることもあるようです。夜馬裕さん原作、外本ケンセイさん作画の『厭談夜話』は、実話をもとに描かれたホラー漫画です。同作の『第三十八談 凝視』では、生霊をテーマにした物語が描かれています。
片田舎に住む主人公の彰良は、高校3年生のとき小百合という彼女がいました。小百合は束縛が激しく、通り過ぎる女子学生を軽く見るだけで浮気だと言い出すほどです。ある日、彰良が都会の大学への推薦が決まったことを伝えると、小百合は泣きだしてしまいました。
また、彰良の実家は小さな電気屋を営んでおり、母は「彰良に家業を継いでほしい」と思っているようです。
小百合は進学のことで変わらず泣きじゃくっていますが、実をいうと彰良は大学でキャンパスライフを楽しんで都会の女の子と出会って、そのまま都会で就職したいと思っていました。
しかしそのころから、彰良は夜間に金縛りに遭うようになります。ふと部屋の隅を見ると、モヤのようにぼんやりとした女性の白い人影が立っていたのです。そのモヤは両目だけくっきりと見え、彰良を凝視してきます。
それからも連日、人影は彰良のもとに現れ金縛りを起こしてきました。そのうえ、日を追うごとに彰良のもとに近付いてきて、1カ月後には彰良の真横で凝視するようになります。小百合は変わらず彰良に強く執着しているため、彰良はこの白いモヤの正体は小百合だと確信しました。
しかし彼女の機嫌を取っても人影は変わらず現れ、寝不足で耐えかねた彰良はお寺へと向かいます。そこで売りつけられたお守りを身につけて、彰良は床に就きました。すると今日も人影が彰良の真上に現れます。彰良は必死にお守りに念じると、ふとお守りを握った右手だけが動きそうになります。彰良は勢い余って、そのまま人影の右目に拳を叩き込んでしまいました。
翌朝、彰良は起床すると、台所にはなんと右目に眼帯を付けた母親が立っていたのです。彰良が地元を出てほしくないと思っているのは小百合だけではないと気付き、彰良はなんとも言えない気持ちになります。
それから人影が出ることはなくなりましたが、大学に入学した数カ月後には小百合は別の恋人に乗り換えてしまいます。結局都会の大学に進学した彰良は、夢のキャンパスライフも送ることができず、恋人もできぬまま、就職にも失敗してしまうのでした。
読者からは「人って恐ろしい」「彰良の人生がいい方向に向くといいなあ」などの声が寄せられています。そこで、作画の外本ケンセイさんに話を聞きました。
■お守りは逆に良くないものを引き寄せてしまうことも
-テーマとなっている『生霊』は、どのような性質を持つ霊なのでしょうか
生霊については、あくまで自分なりの解釈ですが、生きている人間の強い感情…執着や嫉妬、愛情、憎しみといったものが霊のような形になって体外に現れ、相手に取り憑く現象だと思っています。
特徴的なのは、本人に自覚がないことが多い点で、取り憑かれた側に体調不良や精神的な不調を引き起こすとも聞きました。
-今回のように生霊をはじめとした霊に取り憑かれた場合、お守りは一定の効果があるものなのでしょうか?
自分はお守りが好きで、厄祓いのお守りもいくつか持っていますし、こういう題材を扱っていることもあってお祓いにもよく行きます。
ただ、原作者の夜馬裕さんによると、お守りやお経は死者から見ると“光”のように見えるらしく、場合によっては逆に良くないものを引き寄せてしまうこともあるそうで、その話を聞いたときはちょっとゾッとしました…。
-最終的に、彰良が夢のキャンパスライフや就職に失敗したのも、今回の生霊が関係している可能性もあるのでしょうか
このお話は実際に体験された方がいらっしゃるとのことなので、その方の人生や進路について軽々しく想像することはできませんが、生霊が関係していたとしても、そうでなかったとしても、やはり切ない出来事だと思います。だからこそ、彰良さんのこれからの幸せを願っています。
(海川 まこと/漫画収集家)
