「18歳のワンちゃんを探しています」投稿がつないだ再会 ドッグランの決断に反響「泣けてきました」

「2/22に18歳のワンちゃんを連れて、ドックランの様子を見に来て頂いた方を探しています。」

そんな呼びかけがInstagramに投稿され、多くの共感を集めた。投稿したのは、愛媛県四国中央市の 「GREEN TAIL CAFE(グリーンテイルカフェ)」(@green_tail_cafe)。2026年2月14日にグランドオープンした、愛犬と過ごせるカフェ併設のドッグランだ。きっかけは、18歳のシニア犬「ハルくん」と飼い主の来訪だった。

■「ワクチン接種してないからダメね~」と言われて帰った飼い主

2月22日、ハルくんと飼い主はドッグランを見学に訪れた。だが当日は、ワクチン接種に関する規則を理由に利用できなかった。オーナーは当時の状況を振り返る。

「私は気づいていなかったのですが、スタッフから『老犬で、乗せてきてもらわないと来られない子だった』と聞きました。そして小さな声で『あとどれくらい、こういう所に連れて来られるかなぁ~』とつぶやいていたと…」

その言葉を聞いた瞬間、「どうにかしてあげたい」という思いが湧き上がったという。

「見つかるか分からない。でも、急がなきゃ」

そうして“探しています”の投稿が行われた。

■「偽善と言われるかも」それでも体が先に動いた

オーナーは昨年から犬を飼い始めたばかり。老犬がワクチン接種を受けられないケースがあることも知らなかった。

「寄付は続けてきました。でも、目の前の困っている犬に何もできていない自分に、頭を殴られたような気持ちでした」

ネットで呼びかけることに迷いもあったという。

「偽善って言われるかも…とは思いました。でもそんなこと考えていたら探せない。気持ちだけで、体が先に動きました」

すると翌日、飼い主から連絡が届いた。

■3月1日、再会 芝生の上をゆっくり歩いた18歳

3月1日、ハルくんは再びドッグランにやって来た。

「座り込むかなと思っていましたが、芝の上をゆっくり、ゆったり歩いてくれました」

滞在は約15分。帰りは迎えに来た家族に抱かれて帰宅した。飼い主はこう語ったという。

「歩けるうち、食べられるうちは、今まで通り大好きな場所へ連れていきたい」

オーナーはその姿を「マリア様が赤ちゃんを抱くようだった」と表現する。「眼差しまで全部、愛だけでした。本当に温かい空気でした」。

■「ドッグランは若い子だけのものじゃない」

この出来事を受け、カフェは方針を打ち出した。高齢犬や余命宣告を受けた犬は、事前登録のうえ、オープン前の時間帯にワクチン接種なしで利用できるようにするという。背景には、別の飼い主から届いたDMもあった。骨肉腫で余命1年と宣告されたスタンダードプードルの相談だった。

「迷いより、助けたい気持ちのほうが大きかった。自分が正しいと思うことをしよう、と」

一方で、他の利用者から反発がある可能性も頭をよぎった。

「でも、あなたの犬もいずれ年を取りますよ、と言いたい。お互い様なんです」

■シニア犬にとってのドッグランとは

リプライ欄には共感の声が相次いだ。

「うちの子も17歳です」

「失明しているけど、匂いをかぐだけで楽しそう」

「泣けてきました」

オーナーは言う。

「命が短くなればなるほど、1回でも多く幸せでいてほしいと思うはず。ドッグランは若くて元気な子だけのものではない」

今後は、オープン前の1時間を“特別な子”の時間として柔軟に運用する予定だという。将来的には、犬と泊まれる部屋もつくりたいと話す。

■「まだ1カ月。これから一緒に考えたい」

オープンからまだ1カ月。オーナー自身も犬との暮らしは10カ月の“初心者”だ。

「全ての方に満足いただけるには時間がかかります。でも、少しずつ改善していきたい」

“探しています”の一文から始まった今回の出来事。そこには、規則よりも先に動いた「どうにかしてあげたい」という気持ちがあった。ドッグランは、走る場所だけではない。大切な時間を、あと何回重ねられるか分からない家族のための場所でもあるのかもしれない。

(まいどなニュース特約・渡辺 晴子)

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