「雪ひよこ製造業はじめました」お寺が“冬の遊び場”に→雪かきの大変さを“楽しみ”に変えた
「雪ひよこ製造業はじめました。函館は雪遊びの季節が到来です」
そんな一文とともに投稿された動画が、SNSで注目を集めている。
雪の中でリズミカルに“雪ひよこ”を量産する様子は、「かわいすぎる」「癒やされる」と話題に。投稿したのは、北海道函館市湯の川温泉にある湯川寺(とうせんじ)の副住職・筒井章順さん(@tsutsu111111)だ。
境内で雪ひよこを作る僧侶の姿は、一見すると意外な光景。しかし、その背景には、地域とともに歩む寺院ならではの思いがあった。
■きっかけは5年前、わが子との雪遊び
「雪ひよこ製造業」の原点は、意外にも家庭にあった。
「子どもが生まれてから、雪遊びのおもちゃとして5年前に購入したのが始まりです。今では冬の定番の遊びになりました」
雪玉メーカーを使って作るアヒル型の雪ひよこ。動画では、その軽快な手つきが「リズム天国みたい」「職人技」と評されている。
■久しぶりの大雪、境内は子どもたちの笑顔でいっぱいに
動画を撮影した日は、函館に久しぶりの大雪が降り積もった日だった。
「久しぶりに雪が積もったので、子どもたちと境内で遊んでいました」
白銀に包まれた境内で雪ひよこを作る姿は、参拝客やSNSユーザーの心を和ませた。
■「不安定な時代だからこそ、少しでも笑顔を」
投稿後の反響は、想像以上だったという。
「多くの方に“ほっこりした”と言っていただけてうれしかったです。不安定な現代社会なので、少しでも笑顔になってもらえたらと思っています」
さらに、全国各地から「作りました!」「見つけました!」と雪ひよこの写真が届いた。
「私自身も楽しませていただきました」
小さな雪のひよこが、人と人をつなぐ存在になっていた。
■雪かきの大変さを“楽しみ”に変えた発想の転換
湯川寺が「雪遊び大歓迎」を掲げる背景には、現実的な理由もある。
「境内が広く、雪かきは本当に大変です。でも、毎年雪が降るなら、楽しまなければもったいないと思うようになりました」
発想を転換し、「湯川寺スノーパーク」として境内を開放。かまくら、雪像、そり遊び場などを整備し、地域の子どもたちの遊び場にしている。
「私がいる湯川寺のコンセプトは、人々の“行きつけのお寺”になることです」
■SNSをきっかけに広がる交流の輪
境内開放とSNS発信は、新たな交流も生み出している。
「雪ひよこ作りの道具を持参して遊びに来る方や、SNSを見て旅行がてら立ち寄ってくださる方も増えました」
近々、貸し出し用の雪ひよこメーカーも用意する予定だという。
■次なる挑戦は「氷のすべり台」
湯川寺スノーパークの構想は、さらに広がっている。
「氷のすべり台づくりに挑戦したいと思っています」
地域とともに歩む寺院として、季節を楽しむ場づくりを続けていく考えだ。
「これからも、皆さまと共に歩むお寺づくりを続けてまいります」
雪ひよこから始まった小さな遊びは、今や函館の冬を温かく照らす風景になっている。
(まいどなニュース特約・渡辺 晴子)




