「屋根の板金が浮いてるから見てあげる」……これは詐欺!撃退した方法は?【漫画】
突然訪問してきて、「おたくの屋根が壊れている。見てあげますよ」などと言う親切そうな業者さんを見たことある人は多いでしょう。しかしこれは、法外な料金を請求してくる悪徳業者かもしれません。このような詐欺行為を目撃した実話をベースに、現役配達員の送達ねこさんが描いた漫画『屋根見る人にご用心』が注目を集めています。
ストーリーは配達員のコージさんが配達時、ある一軒家の玄関前で奥さんが業者と話をしているところに遭遇したことから始まります。奥さんはコージさんを見るや否や「あっ荷物きた!!待ってたわよー!!」と駆け寄ると、業者は急いで車で行ってしまったのです。コージさんは邪魔をしてしまったと思いましたが、奥さんは「やあ、いいところに来てくれた~。今の人、屋根に上がらせろって気味悪くて」と言うのです。
奥さん曰く、玄関のチャイムが鳴ったので出てみたら、先ほどの業者が「近くで今工事してるんすけど、おたくの屋根の板金が浮いてんの見えて。親方が見てあげて来いって」と話したそうです。また、奥さんが屋根のどこかと聞きましたが「裏の方す。屋根上がって見ますよ」と言います。
家の裏は林で覆われているので、どこから屋根を見たのか不思議に思った奥さんは「名刺を貰えますか?」と言いましたが、業者は「名刺はない。早い方が良い」と梯子を車から降ろそうとしたそうです。
これを聞いたコージさんは、不審に思いつつ次の配達先へ向かいます。すると次の配達先でも、先ほどの業者にばったり会ったのです。そして家主と話していた業者も、コージさんに気付いた様子で逃げるように車で行ってしまいます。
コージさんが話を聞くと、この家主も「屋根の板金が浮いているっていうからさ。見てもらうとこだった」と言うのです。業者が多くの人に同じことをしていると気付いた送達ねこさんは、事務所でこのことを話すと、同僚たちから「そら詐欺だわ」「屋根のぼらしちゃダメ。わざと屋根割ってその写真見せてくっから」「高齢の親御さんが騙されて何百万と請求されたとか」と、続々と情報が集まります。
特にお年寄りは強引にされがちなので注意が必要だそうです。他にも「うちも来た。父が頼んだの解約ですったもんだよ。どこも壊れてないのにさ」や、「叔母の家では、釘打てばすぐ直るって話が、ここもあそこも悪いって始まって。見積もりの倍請求されたそうです」との体験談も話題となりました。
地震や台風の前後はこうした業者が増え、「屋根飛んだら近所の迷惑になるよ」と不安を煽ってくる手口でやって来ます。対応策としては「知ってる工務店を呼ぶ」などの返答が有効だそうです。
コメント欄には「似たような話で、床下見せてを聞きました」「うちも家の見た目が古いからちょいちょい来てました。すごく不安を煽ってくるし、断ると中には捨て台詞吐いていく業者も居て毎回嫌になりました」「これは全国の町内会で回覧板で回すべき!」と多くの経験談や詐欺の手口への驚きの声があがっています。そこで同作の作者である送達ねこさんに話を聞きました。
■「こんな詐欺があるのか」と知ってもらえれば幸い
ー同作を描くきっかけを。
同僚の配達員から屋根詐欺の話を聞いたのがきっかけです。続けて他県の郵便局員からも聞いたので広範囲に被害が及んでいると思いました。「屋根が壊れてるから見てあげるよって親切なふりで来るから、つい話を聞いてしまうんですよね!」と、その局員も悪質な手口に怒りをにじませていました。
ー実際、配達員さんはこのような詐欺被害を聞く機会は多いのですか?
住民の方から身内の被害を聞きますし、飛び込みの訪問でまわっている業者と現場で配達員が出くわすこともありました。漫画に寄せられたコメントを見ても、思った以上に不審な業者の巡回があるようです。
ーコメント欄では実際に経験されている方の声がかなり多いと感じました。
高齢で認知症のあるお父様が業者の話を聞きそうになるので毎度追い払っていた、という娘さんのコメントが印象に残っています。そのかたはずっと「実は業者が本当のことを言っていて、追い払う自分が悪いんじゃないか」と悩んでらしたそうです。相手は押しが強くて断るのも怖かったと。でも漫画を読んで「断って追い払っていいんだ。家族を守る為に必要なことなんだ」と思えたそうです。心の優しいかたほどこうした迷いを抱えてしまいますし、そこにつけこんだ業者に騙されることは、決してあってはならないと思いました。
ー読者に一言お願いします。
雨や台風のシーズンはさらに屋根詐欺が活発になるようです。漫画で「こんな詐欺があるのか」と知ってもらえれば幸いです。どうか皆さん、被害に遭われませんように!
(海川 まこと/漫画収集家)





