介護や健康増進にも役立つ“活きた武術”を! アクション指導者にしてミュージシャン…個性派武道家が神戸にオープンした常設道場とは
1月14日、神戸市兵庫区荒田町に神戸武術研究所「律芯館」の本部道場が開設された。
律芯館の館長は映画のアクション指導者、ミュージシャン「黒猫カルチェ」としても知られる藤原勝博さん。ここでは空手、古武術などをレクチャーしているが、師弟関係ではなく、あくまで「研究所」で皆で武術を学ぼうという独特のスタイルを提示している。
念願の常設道場を開いた藤原さんに話を聞いた。
ーー藤原さんと武術との出合いは?
藤原:中学生のころ、同級生に誘われて糸東流の空手道場に入門しました。それまで球技や競走など運動には苦手意識がありましたが、一人で出来る基本動作や、それらを連結して構成された型を中心とした稽古法は、人と比べられるプレッシャーがなく、これまでにない達成感を得ることができました。
ーー律芯館の発足は?
藤原:武術仲間と2010年4月に武術研究サークルを発足。後に律芯館副代表になる樋口雄志さんと一緒に会を盛り上げました。夜7時頃から公園などに集まり、明け方4時、5時までさまざまな武術家、格闘家と交流しながら武術の研究に励んでいました。2014年7月に深夜の稽古会の主要メンバーと神戸武術研究所「律芯館」を発足させました。
ーー活動理念は?
藤原:歴史ある武術を稽古することで生き方を深め、自分だけでなく大切な人や周りの人も守れる強さを身に付けることです。武術に興味がある人なら、指一本しか動かせなくなっているような人、寝たきりの方、車椅子の方でも工夫しながら指導をしています。神戸市重度心身障害児(者)父母の会・中央支部からの依頼で、障害のあるお子さんたちに古武道体操術講座を開くなど、武道、格闘技の枠を超えた指導もしています。
ーーアクション・武術指導をするようになった経緯は?
藤原:以前から役者をしたり映像には関わっていたのですが、大きく広がったきっかけは海道力也さんの紹介で映画『大阪闇金』(2021年)にヤクザの舎弟役で出演したことでした。
昨年は橋本兄弟主演映画「4390」でアクション指導をさせて頂きました。
監督からは扇子と警棒を使い、双方どちらも譲らない緊迫したアクションシーンを撮りたいというオファーでした。武道にも「相打ち」ではなく、武術を極めた人同士が互いに空を打たせて、無傷のまま終わる「相抜け」という言葉があるのですが、その達人感をうまく演出できたと思います。
ーーアクション指導で意識することは?
藤原:武道を通して体得した自然な動きを意識しています。重力や身体の反射と言った部分ですね。従来のアクションも考え抜かれたもので尊敬しているのですが、僕は武道家ならではのリアルさを追求しようと思いました。
『4390』でアクション指導したAimi さんも共鳴してくれて律芯館に通われるようになり、糸東流拳法空手道6級と古武道、目録「切紙」まで稽古が進んでいます。今回の道場開きで行われた演武会でも一番手という大役を立派に勤めあげられました。
ーー藤原さんはいろんな人を巻き込めるタイプ。道場開きではさまざまな流派の方たちが演武を披露されていました。
藤原:律芯館は武術研究所を名乗っていることから、流派を越えて様々な武道、格闘技の方々が研究稽古に来られ、お互いに技術向上の為につとめています。1月14日の本部道場開きには普段から技術交流をさせて頂いている先生方が大勢参加してくれました。
ーー今後の目標は?
藤原:武術の世界には、武術を通じて出会い技を深め合い仲間になるという「以武会友」という言葉があります。神戸から発信する武術研究所の活動が世界へと広がり、沢山の仲間と共に武術を通じて人生を豊かにしていきたいと願っています。
◇ ◇
現在、律芯館ではSNS発信プロジェクト「Aimi&Com Budo action Project with Risshin-kan」でAimiさんと女子部指導員Comさんによる武術修行の模様を定期的に公開。武道の楽しさ、素晴らしさを世界に向けて発信中だ。
また神戸市重度心身障害(児)者、父母の会「中央支部」からの依頼の依頼で始まった【黒猫カルチェの介護が楽になる身体作り「古武道体操術講座」】も人気講座となっている。ご興味のある方はぜひホームページやSNSをチェックしていただきたい。
神戸武術研究所「律芯館」
兵庫県神戸市兵庫区荒田町2丁目15-3 3階
藤原勝博(黒猫カルチェ)さんプロフィール
神戸武術研究所「律芯館」館長、糸東流拳法空手道 師範 八段 律芯館館長として長年に渡り古武術、空手道を指導。またアクションコーディネーター、作曲家として芸能、音楽業界にも携わっている。
(まいどなニュース特約・中将 タカノリ)
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